ラインケア・管理職支援
昇進、異動、新しい仕事への挑戦は、職場では前向きな出来事として見られやすいものです。
しかし、「期待されています」「頑張ります」と話している社員でも、役割の変化、責任の増加、相談相手の変化によって、強い緊張や疲労を抱えていることがあります。
人事総務・管理職が注意したいのは、前向きに見えることと、負荷が小さいことは同じではないという点です。
このページでは、昇進・異動・新任直後に、管理職が何を確認し、どのようにフォローするかに絞って整理します。
昇進・異動直後は「大丈夫です」をそのまま判断材料にしない
昇進した社員は「弱音を言ってはいけない」、異動した社員は「まだ慣れていないだけ」、新任管理職は「部下の前で不安を見せられない」と考えることがあります。
| 場面 | 表面上見えやすい状態 | 管理職が確認すること |
|---|---|---|
| 昇進 | 意欲的に取り組んでいる | 責任増加、以前の業務、判断の抱え込み |
| 異動 | 新しい職場になじもうとしている | 相談先、役割、孤立、確認のしやすさ |
| 新任管理職 | 責任感を持って頑張っている | 部下対応、上司報告、プレイヤー業務の重複 |
管理職が見るべきなのは、本人のやる気の強さではありません。
新しい役割を続けられる条件が整っているかです。
フォロー面談では「困っていますか」より仕事の条件を聞く
昇進・異動直後の社員に「困っていませんか」と聞いても、「大丈夫です」と答えることがあります。
フォロー面談では、気持ちだけでなく、仕事量・判断・相談先・回復に分けて確認します。
- 以前の役割のまま残っている仕事はありますか
- 一人で判断していることはありますか
- 迷ったとき、誰に確認できていますか
- 今の役割で、どこまで自分が決めてよいか分かりますか
- 退勤後や休日まで仕事を考え続ける日はありますか
こう聞くことで、「本人が弱いか」ではなく、職場側で何を調整できるかを確認できます。
AIで情報収集した後に、人事総務が比較すべきこと
AIで検索すれば、「昇進や異動もストレスになる」「環境変化にはフォローが必要」といった情報はすぐに確認できます。
しかし法人担当者が次に決めるのは、知識ではありません。
今回の問題を本人のセルフケアで扱うのか、それとも管理職の面談・業務調整まで変える必要があるのかです。
特に、昇進後も以前の業務を抱えている、異動後の相談先が曖昧、新任管理職が部下対応を一人で抱えている、といった状態が複数あるなら、本人への助言だけでは改善しにくくなります。
自社の状態を先に確認したい人事総務・健康経営担当者へ
昇進・異動後の負荷が、成長につながる挑戦として機能しているのか、それとも回復や支援が不足してディストレスへ傾いているのかを整理するために、
「ユーストレス/ディストレス 職場活用判断シート」をご利用ください。
会社名とメールアドレスをご入力いただくと、自社で確認すべき職場条件を整理する判断材料として活用できます。
タニカワ久美子が企業研修で見てきた管理職と社員のズレ
企業研修では、管理職から「本人が前向きだったので、負担になっているとは思わなかった」「昇進した直後なので、どこまで聞いてよいか迷った」という声が出ることがあります。
一方、社員側からは「期待されていると言われると断れない」「新しい部署で誰に聞けばよいか分からなかった」「大丈夫ですと言うしかなかった」という声が出ることがあります。
このズレを埋めるには、「気にかけましょう」という一般論だけでは足りません。
管理職が、
仕事量、役割、判断範囲、相談先、回復状況を具体的に確認し、必要なら業務を調整するところまで行動できること
が必要です。
この状態なら管理職ラインケア研修の検討対象です
昇進・異動後の面談内容が管理職によって違う、新任管理職自身の負荷を確認できていない、「本人が前向きだから大丈夫」でフォローが終わる状態がある場合は、個別対応ではなく管理職共通の判断基準を持つ段階です。
タニカワ久美子の管理職研修では、不調者への声かけだけでなく、
前向きに働いている部下についても、負荷・役割・相談・回復を確認し、必要な職場調整へつなげるラインケア
を扱います。
具体的な研修内容は、
管理職ラインケア研修
でご確認ください。
まとめ|昇進・異動後は前向きさではなく、続けられる条件を見る
昇進、異動、新任などの前向きな変化でも、役割、責任、人間関係が変われば心身には負荷がかかります。
人事総務・管理職に必要なのは、その挑戦を止めることではありません。
本人が新しい役割を続けられるよう、仕事量・役割・相談先・回復を確認し、必要な支援へつなげることです。
文責:タニカワ久美子
研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。