職場の運動セルフケアで社員に無理をさせない判断と組織対応

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職場の運動セルフケアで社員に無理をさせない判断と組織対応

健康経営の一環として、社員に運動をすすめたい。

でも、仕事で疲れている社員に「もっと身体を動かしましょう」と伝えてよいのか、迷うことはありませんか。

ランニングが好きな社員は、「走ると気分がすっきりします」と話すことがあります。たしかに、運動のあとに気分が軽くなったり、頭が切り替わったりすることはあります。

一方で、疲れているのに無理に走る、休むより運動を優先する、運動しない自分を責めてしまう社員もいます。

人事総務・健康経営担当者が見たいのは、「運動が良いか悪いか」ではありません。その運動が、社員の回復につながっているのか。それとも、疲労を先送りしていないかです。

運動施策は入れたのに、社員の疲労感が減らない

職場でウォーキング、ストレッチ、ランニングイベント、運動習慣づくりを取り入れることがあります。

施策としては前向きです。けれど、現場では少し違和感が出ることがあります。

参加する社員はいつも同じ。疲れている社員ほど参加しない。運動が得意な社員だけが評価される。イベント後は盛り上がるけれど、翌週には疲労感が戻っている。

この状態で「運動はストレス解消になります」と伝えると、社員には「疲れていても自分で何とかしなければならない」と聞こえることがあります。

運動施策が悪いのではありません。問題は、運動が回復のためなのか、さらに頑張らせるためなのかが、職場内で整理されていないことです。

運動しない社員の意識不足で片づけない

社員が運動施策に参加しない時、「健康意識が低い」「セルフケアが足りない」と見てしまうことがあります。

しかし、参加しない理由は一つではありません。業務量が多くて余裕がない。疲労が強く、運動する気力が残っていない。体調に不安がある。人前で運動することに抵抗がある。

運動しないことを本人の意識不足にすると、職場側で見直せる要因が見えなくなります。

人事総務が見るべきなのは、社員が運動しているかどうかだけではありません。運動できるだけの回復時間があるか、休息を取れているか、無理なく選べる施策になっているかです。

「走ればストレス解消になる」だけでは職場課題が残る

ランナーズハイは、長く走ったあとに気分が高まり、苦しさが軽くなったように感じる反応として知られています。

この感覚から、「走ればストレスが解消される」と受け止められることがあります。

けれど、職場のストレス管理では、ランナーズハイを万能のストレス解消法として扱わない方が安全です。

気分がすっきりしても、業務量、人間関係、長時間労働、休憩の取りにくさが残っていれば、ストレスはまた蓄積します。

運動はセルフケアの一つです。ただし、職場ストレスを社員の運動努力だけで解決しようとすると、疲労や過負荷を見落とします。

気分の高まりと回復は見分けにくい

運動後に「すっきりしました」と社員が話すと、担当者は安心しやすくなります。

ただし、気分の高まりと、心身の回復は同じではありません。

走った直後は前向きになっていても、翌日に疲れが残る。睡眠が浅くなる。休むことに罪悪感を持つ。走らないと不安になる。このような場合、運動が回復ではなく、疲労の先送りになっている可能性があります。

ここは専門職でも判断に迷う部分です。

職場で必要なのは、「運動は良い」「運動は悪い」の二択ではありません。運動後の気分だけでなく、翌日の疲労、睡眠、仕事中の集中力、休息の取り方を合わせて見ることです。

運動施策を社内で動かす時に見落とされるもの

人事総務には、健康経営施策の参加率や実施状況が見えます。管理職には、部下の日々の疲労や仕事ぶりが見えます。社員本人には、運動した後の身体の重さや、休めない感覚が見えています。

ところが、この3つがつながっていないと、運動施策は「実施した」「参加した」「よかった」で終わります。

社員が本当に回復しているのか。運動が強制感になっていないか。運動できる社員だけが健康意識の高い人として見られていないか。

社内で動かす難しさは、運動メニューの不足ではありません。運動施策を、疲労、休息、睡眠、業務負荷と一緒に見られていないことです。

タニカワ久美子研修では運動の効果を、職場の判断材料に変える

タニカワ久美子の研修現場では、ストレス対処法を話し合う場面で、「走ると気分が切り替わります」という声が出ることがあります。

その一方で、「疲れているのに、走らないと自分がだめになる気がします」という声が出ることもあります。

この違いを見落とすと、職場の運動セルフケアは、社員を回復させる施策ではなく、さらに頑張らせる施策になってしまいます。

研修で扱うべきなのは、ランナーズハイの詳しい説明だけではありません。社員の「すっきりした」という言葉を、回復、疲労、睡眠、休息、業務負荷の判断材料として見直すことです。

管理職が見るのは、運動量ではなく翌日の疲労感

管理職が確認するのは、社員が運動しているかどうかではなく、運動後に回復しているか、翌日の疲労が増えていないかです。

「もっと運動した方がいい」ではなく、「疲れている時に無理をしていませんか」「休息は取れていますか」と確認します。

人事総務が整えるのは、参加率より続けやすさ

人事総務が整えるのは、全員に同じ運動を求める施策ではなく、体調や疲労度に合わせて選べる運動セルフケアです。

参加率だけで評価せず、疲労感、睡眠、休息、参加しにくさ、業務負荷との関係を確認します。

最後に、人事総務のご担当者へ

ランナーズハイは、運動後の気分の高まりやストレス解消感を考える入口になります。

ただし、職場で大切なのは、社員にもっと運動させることではありません。運動が本当に回復につながっているか、疲労を先送りしていないかを見極めることです。

健康経営で運動施策を入れる時、参加率やイベント実施だけを見ていないでしょうか。

運動が得意な社員を基準にして、疲れている社員、体調に不安がある社員、運動が苦手な社員の声を見落としていないでしょうか。

職場の運動セルフケアは、社員にもう一段頑張らせる施策ではありません。社員が疲労に気づき、無理なく回復しながら働くための入口です。

その入口を、社員任せのセルフケアで終わらせるのか。管理職の声かけ、人事総務の健康経営施策、職場の休息設計につなげるのか。

ここを整理しないまま運動施策を進めると、良い取り組みのはずが、疲れている社員には負担として届いてしまうことがあります。

運動セルフケアを職場のストレス管理研修に取り入れたいご担当者へ

けんこう総研では、ランナーズハイのような身近なテーマを入口に、運動、睡眠、休息、疲労サインを組み合わせたストレスマネジメント研修を行っています。社員に無理な運動を求めるのではなく、職場で続けやすいセルフケアとして設計できます。

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