ライフステージ別健康支援
女性活躍推進法を健康経営に活かす職場支援
女性活躍推進法への対応は、数字を公表して終わりではありません。女性従業員が安心して働き続けられる職場かどうかを見直す、大切なきっかけになります。
人事総務の担当者にとっては、行動計画や情報公表だけでなく、「体調のことを言い出しにくい」「休むと迷惑をかけると感じてしまう」「出産や育児、更年期をきっかけに働き方が変わる」といった現場の声を、健康経営の中でどう受け止めるかが重要です。
女性活躍推進法を健康経営の視点で見る理由
女性活躍推進法は、女性が職場で能力を発揮し、働き続けられる環境を整えるための法律です。採用、配置、昇進、継続就業、働き方など、企業が自社の状況を見直し、課題に応じた行動計画を立てることが求められます。
ただし、職場で女性が働き続けにくくなる理由は、キャリア制度だけではありません。生理痛、妊娠中の体調変化、産後の疲労、更年期症状、介護との両立など、ライフステージごとの健康課題が、仕事の続けやすさに大きく関わります。
そのため、女性活躍推進法への対応は、健康経営と切り離して考えない方が実務に落とし込みやすくなります。
企業に求められる対応は広がっている
女性活躍推進法では、企業規模に応じて、一般事業主行動計画の策定・届出、女性の活躍に関する情報公表などが求められます。
とくに近年は、男女間賃金差異や女性管理職比率など、企業の実態が外から見えやすい項目の公表が重視されています。対象企業や公表項目は改正によって変わるため、実務では厚生労働省の女性活躍推進法特集ページも確認してください。
人事総務の担当者が気をつけたいのは、数字だけを整えても、職場の空気が変わらなければ女性従業員の安心感にはつながりにくい点です。制度、相談体制、上司の理解、休みやすさ、業務調整のしやすさを、同時に見直す必要があります。
M字カーブとL字カーブから見える職場の課題
女性の働き方を考えるとき、よく出てくる言葉に「M字カーブ」と「L字カーブ」があります。
M字カーブは、出産や育児の時期に女性の就業率が下がり、その後に再び上がる傾向を示す言葉です。L字カーブは、年齢が上がるにつれて正社員として働く女性の割合が下がり、非正規雇用に移りやすい状況を示します。
この背景には、長時間労働、急な休みにくさ、復職後の業務調整の難しさ、管理職への登用機会の少なさなどがあります。さらに、体調の変化を相談しにくい職場では、本人が無理を重ねた結果、離職や意欲低下につながることもあります。
行動計画には健康課題の視点も入れる
一般事業主行動計画を作るときは、採用率や管理職比率だけを見るのではなく、女性従業員が働き続けにくくなる場面を確認することが大切です。
たとえば、次のような点は、健康経営の視点からも見直しやすい項目です。
- 生理痛や月経前の不調があるときに、休暇や在宅勤務を使いやすいか
- 妊娠中の業務内容や勤務時間を相談しやすいか
- 産休・育休から戻った後に、孤立しない仕組みがあるか
- 更年期の不調について、本人が言い出しにくい空気がないか
- 管理職が、健康課題への声かけや業務調整に迷っていないか
これらは、特別扱いを増やすという意味ではありません。働き続けるために必要な相談と調整を、個人の我慢に任せない職場にするということです。
情報公表は採用と定着にも関わる
女性活躍に関する情報公表は、求職者や従業員にとって、その会社がどのような職場づくりをしているかを見る材料になります。
女性管理職比率や男女間賃金差異は、企業の現状を示す重要な数字です。ただし、数字だけが一人歩きすると、「公表のための対応」に見えてしまうことがあります。
人事総務としては、数字の背景にある取り組みも伝えることが大切です。たとえば、女性従業員の健康相談体制、管理職向けの理解促進、復職後の面談、勤務時間の見直しなどを一緒に示すことで、企業の姿勢が伝わりやすくなります。
タニカワ久美子の企業研修で見えていること
タニカワ久美子の企業研修では、女性の健康課題を「女性だけの問題」として扱いません。実際の職場では、本人が体調不良を言い出せず、上司もどこまで配慮してよいかわからないまま、欠勤、遅刻、業務調整が個人任せになっていることがあります。
とくに人事総務の担当者からは、「制度はあるのに使われていない」「管理職が声をかけるタイミングに迷っている」「配慮と不公平感の線引きが難しい」という相談を受けます。
研修では、女性従業員の健康課題を特別な話にせず、職場全体の働きやすさとして扱います。管理職が確認すべき言葉、本人が相談しやすい流れ、人事総務が整えておく窓口やルールを、現場で使える形に落とし込みます。
女性活躍推進法を職場改善につなげる確認ポイント
女性活躍推進法への対応を、健康経営の実務に活かすなら、まずは次の点を確認します。
- 女性従業員の離職理由に、健康や家庭との両立が関係していないか
- 産休・育休後の復職者に、業務量や相談先の確認をしているか
- 更年期や月経に関する不調を、本人任せにしていないか
- 管理職が健康課題への対応を学ぶ機会を持っているか
- 制度の説明だけでなく、使いやすい空気づくりまで行っているか
小さな確認でも、職場の見えにくい負担が見えてきます。女性活躍推進法を「義務だから対応するもの」で終わらせず、社員が長く働き続けられる職場づくりに結びつけることが、健康経営では大切です。
まとめ
女性活躍推進法は、女性の採用や管理職登用だけを見る法律ではありません。女性従業員が安心して働き続けられる職場かどうかを、企業が見直すための重要な入口です。
人事総務の担当者が取り組むべきことは、行動計画や情報公表を整えるだけではありません。体調を相談しやすい職場、休みやすい雰囲気、管理職が迷わず対応できる仕組みを整えることが、女性従業員の定着と健康経営につながります。
制度対応だけで終わらせず、女性従業員の健康支援を職場改善につなげたい場合は、けんこう総研の健康経営支援をご覧ください。
