ストレス研究memo
タニカワ久美子のストレス管理研究Vol.156備忘録
2024年10月17日更新
こんにちは、けんこう総研のタニカワ久美子です。
日本ストレス学術総会に向けた私の研究の続報です。今日は、この研究で使用した検定方法についての備忘録です。
8日のブログから来る11月の日本ストレス学術総会での研究発表の備忘録を書いていきます。
8日のブログ(研究背景)はこちらです。
9日のブログ(研究結果と解釈)はこちらです。
10日のブログ(研究結果と解釈)はこちらです。
13日の検定結果はこちらです。
全貌を一目したい方はどうぞ日本ストレス学術総会11月3日にいらっしゃってください。お待ちしています。
小規模なサンプルサイズの論文を原著としてアクセプトさせる方法
ロバストな統計手法の活用
小規模なサンプルサイズであっても、適切な統計手法を使用することで信頼性の高い結果を示すことが可能です。特に、非パラメトリック検定(マン・ホイットニーU検定やクラスカル・ウォリス検定)など、正規分布を仮定しない手法は有効です。また、ブートストラップ法のような再サンプリング手法を用いて、データのばらつきを補正し、結果の信頼性を高めることも考えられます。
研究の新規性を強調
サンプルサイズが小さい場合でも、新規性や独自性が高い研究であれば、原著論文としての価値を認められる可能性があります。たとえば、ウェアラブルデバイスを用いたHRVのリアルタイム評価や、ストレス管理プログラムの個別化アプローチなど、他の研究ではあまり扱われていないテーマや方法論に焦点を当てることが重要です。
結果の限界と展望を明示する
小規模なサンプルサイズに伴う限界を正直に記述し、その影響を考慮しながら、今後の研究方向について具体的な提案を示す。サンプルサイズの拡大や長期的な効果検証、他の運動形態や強度の検討などを含めるとよいでしょう。また、今回の研究で得られた結果が他の条件下でも同様に適用できるかどうかについても、慎重に言及することが求められます。
限界をカバーする分析の工夫
小規模なサンプルサイズであっても、詳細なサブグループ分析や効果量の報告を行うことで、結果の信頼性を補完できます。例えば、運動習慣の有無による心拍変動やストレスレベルの違いを明確に示し、それぞれの効果の大きさを報告する。
既存の先行研究との整合性を強調
既存の大規模研究との整合性を示すことで、サンプルサイズの問題を補うことができます。たとえば、HRVや運動習慣とストレス軽減効果に関する先行研究と今回の研究結果が一致している場合、それを強調することで、信頼性が高まります。加えて、同様のテーマで小規模研究がアクセプトされた例を引用すると説得力が増すでしょう。
Stress Watch: The Use of Heart Rate and Heart Rate Variability to Detect Stress: A Pilot Study Using Smart Watch Wearables
スマートウォッチを使ったストレス検出のパイロット研究
Sensorsという高インパクトファクターの学術誌に掲載された研究
Fitbitなどのウェアラブルデバイスを用いて、医学生と一般人の2つのグループでストレス応答を測定しました。特に、HRVが急性ストレスの指標として使えるかどうかを評価し、ベースラインの不安レベルを考慮する必要性を示しています
著者:Taryn Chalmers,Blake Anthony Hickey,Phillip Newton et al.
2022年、22(1)、151
The Future of Stress Management: Integration of Smartwatches and HRV Technology
心拍変動(HRV)とスマートウォッチ技術の統合
2023年に発表されたレビュー論文では、Apple WatchやGarminなどのスマートウォッチがどの程度の精度でHRVを測定し、ストレス管理に役立つかを総合的に評価しています。この論文は、HRVデータを使ったリアルタイムのストレス管理の可能性と課題を詳細に論じています
著者:Ravinder Jerath ,Mohammad Syam,Shajia Ahmed
Sensors 2023, 23(17), 7314