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ストレス研究memo

タニカワ久美子のストレス管理研究Vol.149

2024年10月9日更新

こんにちは、けんこう総研のタニカワ久美子です。
きのうのブログにひき続き、今日も、来る11月の日本ストレス学術総会での研究発表の備忘録を書いていきます。

<研究結果の解釈

現場女性社員

日常的に運動習慣があることが、運動時の心拍数を抑える効果的な要因となり、体力や心臓の負荷に対する耐性を高める可能性のストレス管理研究論文の結果とその結果の解釈を書いたブログです。日本ストレス学術総会でこれは発表される内容です。

非パラメトリック検定・運動負荷強度ごとの分析

1METs(AM10:30~10:57)と、2~3METs(AM10:57~11:12)での2つの時間帯における運動時におけるストレスレベルの比較マン・ホイットニーU検定(Mann-Whitney U test)

検定結果は、
U値 = 795.0
p値 = 0.0228
このp値は0.05未満であり、統計的に有意差がある。

ストレスレベルの中央値は、
1METsの時間帯 (AM10:30〜10:57)では、中央値 40.5
2〜3METsの時間帯 (AM10:57〜11:12)では、中央値 50.5

この結果から、運動強度が上がる時間帯(2〜3METs)においてストレスレベルが上昇していることがわかる。これは、運動の強度がストレスレベルに影響を与える可能性を示唆している。

Table1では、各時間帯ごとのストレスレベルの中央値と順位の合計(R)が示した。1METsの平均順位は8.64、2〜3METsの平均順位は14.55で、ストレスレベルが高いほど平均順位が上昇している。
Table2では、U値とp値が記載されており、p値が有意水準を下回るため、2つの時間帯におけるストレスレベルの分布には統計的に有意な差がある。

この結果は、運動強度が増すとストレスレベルが上昇する傾向が示された。具体的には、2〜3METsの時間帯のストレスレベルの中央値が50.5であり、1METsの時間帯の中央値40.5に比べて高くなっています。この差は統計的にも有意であり(p値=0.0228、U値=795.0)、運動強度の増加に伴ってストレスレベルが増加するという結果が得られた。
この結果からは、運動の強度が体に負担をかけ、その結果としてストレス反応が強くなることが考えられる。

MET、2〜3MET、4METの3つの異なる運動強度に対する心拍変動の比較クラスカル・ウォリス検定(Kruskal-Wallis test)

1. クラスカル・ウォリス検定の結果
H値(統計量): 515.86
p値**: 9.61e-113 (0.000000000000000961)

この検定結果から、p値が非常に小さい(< 0.001)ため、3つの運動強度(1MET、2〜3MET、4MET)に対して心拍数に有意な差がある。 少なくとも1つの群で心拍数が他の群と統計的に異なるという結論が導けます。 2. 心拍数の中央値(Figure 2およびTable 3)
1METsの中央値: 73.0
2〜3METsの中央値: 79.0
4METs以上の中央値: 93.0

この結果から、運動強度が上がるにつれて、心拍数の中央値も増加していることがわかる。1METに比べ、4METでは心拍数の中央値が約20ポイント上昇している。
また、Figure 2の箱ひげ図から、各群の分布と外れ値が確認でき、特に2〜3METで1つの外れ値が見られた。

3. Table 4の検定結果
調整前後の結果は、検定結果には調整の有無にかかわらず、自由度2、H値515.86、p値9.61e-113と同じ結果が示された。調整を行っても結果が変わらないため、3群間に統計的有意差がある。

4. Z値(Table 3)
各群のZ値は、1MET: -1.28、2〜3MET: 2.65、4MET以上: -1.37 となっており、これは標準正規分布に基づく平均順位の差を示した。2〜3MET群はZ値が正であり、他の群に比べて心拍数が若干高い傾向があることが示唆される。

解釈のまとめ
この研究では、異なる運動強度に対する心拍数の変化を評価した。クラスカル・ウォリス検定の結果、運動強度が高くなるほど心拍数が有意に増加することが示された。p値が非常に小さく、結果は統計的に有意であり、運動強度と心拍数には強い関係があることがわかる。また、2〜3MET群では、他の群に比べて心拍数のばらつきがやや大きいことがFigure 2の箱ひげ図からも確認できる。

運動習慣がある群とない群(異なる運動強度(1MET、2〜3MET、4MET))での状況下での心拍数の比較マン・ホイットニーU検定

1. Figure 3: 1METでの心拍数比較
U統計量: 73,160.0
p値: 7.74e-26
運動習慣あり群の中央値: 68.0
運動習慣なし群の中央値: 75.0

この結果から、運動習慣がある群の方が心拍数が低いことがわかる。p値が非常に小さく(7.74e-26)、有意差がある。1METの低強度運動時に、運動習慣のある人は心拍数が低く、運動効率が良いと考えられる。

2.Figure 4: 2〜3METでの心拍数比較
U統計量: 27,028.0
p値: 3.46e-08
運動習慣あり群の中央値: 74.0
運動習慣なし群の中央値: 80.5

2〜3METの中程度の運動強度でも、運動習慣がある群の方が心拍数が低いことが示された。このp値も非常に小さく(3.46e-08)、統計的に有意な差がある。このことは、運動習慣の有無が中程度の運動時の心拍数にも影響を与えることを意味する。

3. Figure 5: 4MET以上での心拍数比較
U統計量: 44,257.0
p値: 0.000186
運動習慣あり群の中央値: 92.0
運動習慣なし群の中央値: 105.0

4MET以上の高強度運動では、運動習慣がある群の方が心拍数が低く、差がより顕著に表れている。p値は0.000186であり、統計的に有意である。このことは、運動習慣がある人が高強度運動においても効率的に心拍数を維持できることを示唆している。

4. Table 5: Bonferroni補正
Bonferroni補正は、複数の比較を行う際に、誤検出(第1種エラー)を減らすために用いる補正方法。
補正後の有意水準は0.016667であり、全てのp値がこの水準より小さいため、いずれの比較も統計的に有意である。
Figure 3のp値: 7.74e-26
Figure 4のp値: 3.46e-08
Figure 5のp値: 1.86e-04

これにより、各MET段階で運動習慣が心拍数に与える影響が全て有意であることが確認された。

結論と解釈
運動習慣の有無は、運動強度に関わらず心拍数に有意な影響を与えている。
運動習慣がある人の方が、1MET(低強度)から4MET以上(高強度)にわたる全ての強度で心拍数が低い傾向がある。
特に、4MET以上の高強度運動ではその差が顕著で、運動習慣がある人の方が心拍数の上昇を抑え、より効率的に運動できる可能性が高い。

このことから、日常的に運動習慣があることが、運動時の心拍数を抑える効果的な要因となり、体力や心臓の負荷に対する耐性を高める可能性が示唆されます。

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