健康リーダー応援コラム
リモートワーカーの疲労ストレス回復方法
2021年5月30日更新
タニカワ先生「最近、マスク着用しているせいで、以前より疲れやすくなってみたいなんです。よく眠れないし、朝起きるとぐったり疲れているんです。どうしちゃったんでしょうかねえ~私のカラダ。やっぱり年齢が原因でしょうか?」
と、なんだか不安そうなお顔のN会社の総務部長さんとのZOOMでのミーティング前の挨拶代わりの会話です。在宅勤務ならではの家庭での役割とのけじめがつかない仕事は、在宅ならではの疲れがたまります。週1の休日も、なんだか休んだ気がしない。そんな貴殿に、是非お読みになっていただきたい『疲れ』のついてのコラムをアップしました。
たまった疲れを回復させるための正しい知識で、休養の意識高い系を目指しましょう。効率的に疲れをとる科学的な身体活動で疲れを翌日に持ち越さない疲労回復法のお話しです。
カラダを動かしていないのに『疲れる』のは何故?
そもそもデスクワークやパソコン作業で一日中、じっとしているのに「疲れた~」とぐったりするのは、どうしてなのでしょう?疲れの原因は、多種多様で、一言で言えるものではなく不明な事象も多くあります。ですが、一般的に疲れとは、「病気以外の原因によって、精神的・身体的作業能力が一過性に低下した状態」と定義されています。当たり前ですが、疲れは病気ではありません。けれどもよく誤解されてしまうのが『慢性疲労症候群』です。慢性疲労症候群は、身体診察や臨床検査で異常が認められないにもかかわらず、日常生活を送れないほどの原因不明の激しい疲労状態がつづく病気です。主な症状は「厚生労働省の慢性疲労症候群の診断基準」
でも紹介されています。うつ病と誤診されやすく、診断が難しい病気ともいわれています。
疲れる理由1・血糖値が低下するから
カラダを使った仕事も、脳を働かせるクリエイティブな仕事でも、どちらもエネルギーが必要です。そのエネルギーが消耗すると『疲れ』が発生します。筋肉を動かすエネルギー源は、アデノシン三リン酸(ATP)です。このアデノシン三リン酸は、筋肉の中に蓄えられます。しかし残念なことに少ししか蓄えることができません。アデノシン三リン酸を補うための第2のエネルギー源としてグリコーゲンが存在します。グリコーゲンは、筋肉の他に肝臓でも蓄えることができます。ただし、このグリコーゲンはエネルギー源として使われると血糖値を低下させる働きも同時にしています。血糖値が低下するとカラダだけでなく脳の働きも鈍るため疲れたあ~と感じる一因になります。
疲れる理由2・疲労物質が貯まるから
疲れを引き起こすピルビン酸(焦性ブドウ酸)やクレアチリン酸、二酸化炭素などの疲労因子(FF)が体内に貯まるのも疲れを感じる一因です。よく乳酸が貯まる=筋肉痛という疲れと誤解されがちです。しかし乳酸は、エネルギーを使う途中で産まれる物質なだけで、疲労因子ではありません。疲労どころかむしろエネルギーとして再利用されていることも明らかな有り難い『疲労回復物質(FR)』なのです。
疲れる理由3・高ストレスによるビタミン・ミネラルの不足
高強度のストレスによって自律神経のバランスが崩れると疲れが起こります。特に眼の視床下部や下垂体、副腎皮質は疲れに敏感に反応します。そのためとても疲れやすい身体部位でもあります。
お疲れモードには積極的健康運動が疲労回復への最短コース
疲れとりには、ストレスで多量に消耗するビタミン・ミネラルの補給と、軽い運動の確保が重要ポイントです。こんな興味深い研究報告があります。それは疲労困憊の後でウォーキングなどの軽い運動を行った時と、安静にしていた時では、疲れているのに運動した時の方が疲労回復が早いという実験結果がでたのです。つまりデスクワークなどの身体活動をしていないで疲れた場合は、軽い運動をして脳だけでなく、身体も疲れた状態にしたほうが末しょう循環の血行が促進されて疲れがとれやすくなる、のです。言い換えると、
身体の疲れをまったく感じないような日常生活をつづけていると、わずかなストレスでも疲れやすくなります
したがって、デスクワークで疲れたら身体も運動で疲れさせてあげましょう。軽い身体の疲れを感じるほどの健康運動を実施することが疲れにくいカラダづくりには重要です。けれども、高齢者などの体力がない方や、激しいトレーニング後には安静が一番です。
デスクワーカーのパソコン作業による疲労超回復のための最も効果的な方法となる柱は、軽い健康運動の実践です。健康運動と疲労回復にはこんな素晴らしい科学的エビデンスがそろっています。無理はしないで仕事が終わった後に、ほんのちょっと健康運動をプラスするだけで健康度がアップします。健康運動で疲労回復物質(FR)を増やしましょう!
さあ今週もコロナ疲れなんて吹き飛ばして健やかにお過ごしください。