ストレス研究memo
ストレスを健康の味方に変える知識:ユーストレスとディストレスの科学
2024年4月5日更新
ストレスを健康の味方に変える知識:ユーストレスとディストレスの科学
ストレスは私たちの生活において避けられない要素ですが、その影響は私たちがそれをどのように捉えるかに大きく依存します。
Mark Le Fevre, Jonathan Matheny, Gregory S. Koltが2003年に発表した研究「職場におけるストレスの解釈:ユーストレスとディストレス」では、ストレスが健康に及ぼす影響を再評価します。この研究は、ストレスの捉え方一つで、私たちの心身の健康が大きく変わることを示唆しています。
ストレスの二面性:脅威か挑戦か
人は、ストレス要因を無意識に「脅威」と見なすか、「挑戦」と見なすかを瞬時に判断します。この区別が、私たちが感じる「苦痛」の度合いを決定します。愛や喜びなどの情動的ストレスは、実はストレス要因に対する肯定的な反応として捉えることができます。これらの感情は、メンタルだけでなくフィジカルにも影響を及ぼし、私たちの行動パターンを形成します。
職場におけるストレスの原因
職場におけるストレス原因は、仕事量や時間的なプレッシャーなど、成長を促進するものと見なされることもあれば、個人の成長を妨げると見なされることもあります。これらのストレス原因は、労働者のストレス耐性によって異なる影響を及ぼします。
ストレス対処の理論
ストレスの取引理論は、ストレス要因を単純に「課題」と「障害」として分類することの問題点を指摘します。実際には、「課題ストレス」と「障害ストレス」が同時に存在することが多く、ストレス対処にはこの複雑な絡み合いを理解することが必要です。
ストレス評価のためのツール:知覚ストレススケール(PSS)
ストレスの科学的評価において、Cohenらによって開発された知覚ストレススケール(PSS)は重要なツールです。PSSは、過去1か月間に感じたストレスのレベルを測定する自己報告式質問紙で、ストレスの知覚の度合いを定量化します。PSSは、その信頼性と妥当性から、心理学からとらえたストレスや、行動医学からとらえたストレス
、社会学からとらえたストレスなど多岐にわたる分野で利用されています。
この研究は、ストレスと正しく向き合うための視点が書かれています。ストレスは敵ではありません。適切にストレス管理をすれば私たちの成長に役立つ力として再評価することの重要性を強調しています。
原著論文:Cohen, S., Kamarck, T., & Mermelstein, R. (1983). A global measure of perceived stress. Journal of Health and Social Behavior, 24, 385–396.