ストレスチェック・職場改善
ストレスチェックを実施したあと、「結果は出たけれど、この後に何をすればよいのかわからない」と感じる人事総務・健康経営担当者は少なくありません。
高ストレス者への面談案内は行った。集団分析の結果も確認した。けれども、その先の職場改善や社員支援まで進められていない、という相談を受けることがあります。
ストレスチェック後に人事が次に行うのは、結果を見て終わることではなく、職場で優先する支援を決めることです。高ストレス者への個別対応を確認したうえで、部署ごとの負担、相談のしやすさ、管理職支援、予防教育のうち、自社ではどこから改善するかを判断します。すべてを同時に始める必要はありません。
この記事では、ストレスチェック実施後、個別対応を終えた人事総務・健康経営担当者が、次にどの職場支援・改善策から着手するかを整理します。
ストレスチェック後に止まりやすい理由
ストレスチェックは、実施して結果を確認することだけが目的ではありません。
結果から職場の状態を把握し、メンタルヘルス不調の予防や職場環境の改善につなげることが重要です。
しかし実際には、次のようなところで止まりやすくなります。
- 高ストレス者への面談案内だけで終わっている
- 集団分析の結果を見ても、何を改善すればよいかわからない
- 管理職に何を伝えればよいか迷っている
- 社員が相談しやすい職場づくりまで進んでいない
- 健康経営の施策とつながっていない
- 翌年度も同じようにストレスチェックを実施するだけになっている
ここで必要なのは、新しい施策を次々に増やすことではありません。自社では何を優先して変える必要があるのかを決めることです。
高ストレス者への対応だけで終わらせない
ストレスチェックで高ストレス者に該当しなかった社員も、何の支援も必要ないとは限りません。
忙しさ、人間関係、責任の重さ、家庭との両立、睡眠不足などを抱えながら働いている社員もいます。
また、個人のストレス状態だけを見ると、業務量の偏り、相談のしにくさ、管理職の負担など、職場側の課題を見落とすことがあります。
そのためストレスチェック後は、高ストレス者への個別対応と、職場全体の予防・改善を分けて考える必要があります。
人事総務が最初に見る4つのポイント
最初から大規模な施策を始める必要はありません。
まずは、ストレスチェックや集団分析の結果を手がかりに、次の4つを確認します。
| 見るポイント | 確認したいこと | 次の支援につなげる視点 |
|---|---|---|
| 部署ごとの差 | 特定の部署だけ負担が高くなっていないか | 業務量、役割分担、職場環境を確認する |
| 相談のしやすさ | 困ったときに社員が声を上げられるか | 上司の声かけ、面談、相談導線を確認する |
| 休憩・残業 | 休みにくさや長時間労働が続いていないか | 働き方と疲労の蓄積を確認する |
| 管理職の負担 | 管理職自身が抱え込みすぎていないか | ラインケア研修や管理職支援につなげる |
大切なのは、数値の高低だけで施策を決めないことです。
どの職場で、どのような問題が起きていて、次に何を変えるのか。ここまで決めて初めて、ストレスチェックの結果が職場改善に使われます。
ストレスチェック後は「何を実施するか」より優先順位を決める
メンタルヘルス対策や健康経営では、施策の数を増やすことが目的になってしまうことがあります。
相談窓口を案内する、ポスターを掲示する、研修を実施する。それぞれ必要な施策ですが、自社の課題と結びついていなければ、現場の行動変化につながらない場合があります。
ストレスチェック後は、たとえば次の順序で考えます。
- 高ストレス者など個別対応が必要な社員への対応を確認する
- 集団分析や職場の状況から、優先して見る部署を決める
- 業務量、相談環境、管理職支援など原因となる要素を確認する
- 職場改善、管理職支援、予防教育のどこから着手するか決める
- 実施後に何が変わったかを確認する
つまり、「対策を実施したか」ではなく、課題に対して適切な対策を選び、その後に職場で何が変わったかを見ることが重要です。
職場の状態によって、次に行う支援は変わります
| 現在の状態 | 次に検討する支援 |
|---|---|
| 高ストレス者への対応だけで止まっている | 職場全体の環境改善 |
| 特定部署の負担が高い | 業務量・役割分担・管理体制の確認 |
| 管理職が部下への対応に迷っている | ラインケア研修・管理職支援 |
| 社員から相談が上がってこない | 相談導線・声かけ方法の見直し |
| 高ストレス者以外への対策がない | 全社員へのセルフケア・予防教育 |
| 施策を行っているが効果がわからない | KPI・行動変化・翌年度結果による評価 |
自社の状態が違えば、必要な支援も違います。
そのため、「ストレス対策として何をするか」から考えるのではなく、現在どこで止まっているのかを確認してから施策を選ぶ方が、職場改善につながりやすくなります。
ストレスチェック後、何から改善すべきか迷っている人事総務・健康経営担当者へ
ストレスチェック実施後の状況を整理し、
「職場環境改善」「管理職支援・ラインケア」「相談体制の整備」「ストレス予防教育・研修」のうち、
自社では何を優先して取り組むべきかを判断するための法人向けシートです。
ストレスチェック後・職場改善 優先順位判断シート
集団分析の結果や職場の状況を確認しながら、
ストレスチェックを「実施して終わり」にせず、
次に着手する職場改善施策を整理できます。
タニカワ久美子の企業研修で確認していること
タニカワ久美子の企業研修では、ストレスチェックを単なる制度対応で終わらせず、その後の職場行動につなげることを重視しています。
研修現場では、「結果を見ても管理職にどう説明すればよいかわからない」「高ストレス者以外の社員に何をすればよいのか迷う」「健康経営として取り組みたいが、現場にどう伝えればよいかわからない」といった課題が出ることがあります。
こうした場合、抽象的に「ストレス対策をしてください」と伝えるだけでは、管理職は具体的な行動に移しにくくなります。
たとえば、「忙しいときに相談できる人はいますか」「休憩を取りにくい時間帯はありませんか」「業務が特定の社員に偏っていませんか」「管理職が部下の変化に気づける場面がありますか」といった、職場で確認できる問いへ置き換えます。
ストレスチェックの結果は、社員を評価したり責めたりするためではなく、働き方や職場環境を見直す入口として使うことが重要です。
ストレスチェック後に始めやすい4つの支援
1.管理職に結果の見方を伝える
集団分析の結果を人事総務だけが把握していても、職場改善にはつながりません。
必要な範囲で職場の課題を整理し、管理職が部下の疲労、相談の少なさ、業務の偏りなどに気づけるようにします。
2.社員が相談しやすい言葉を増やす
社員にとって、「つらいです」「ストレスがあります」と自分から申し出ることは簡単ではありません。
「最近眠れていますか」「仕事量に偏りはありませんか」「困ったときに相談できていますか」といった、答えやすい問いを管理職が持つことも支援の一つです。
3.高ストレス者以外にも予防教育を行う
高ストレス者だけに対応すると、メンタルヘルス対策が一部の社員だけを対象にしたものになりやすくなります。
全社員に、ストレスへの気づき方、休み方、相談の仕方などを伝えることで、不調が大きくなる前の予防につなげます。
4.翌年度に向けて改善内容を残す
ストレスチェックは、その年だけで完結させるものではありません。
どの部署にどのような課題があり、何を実施し、その後どのような変化があったのかを残しておくことで、翌年度の施策判断に利用できます。
健康経営では、ストレスチェック後の行動まで設計する
ストレスチェックを実施しただけでは、職場改善が行われたことにはなりません。
高ストレス者への個別対応を確認し、その次に、部署ごとの負担、相談環境、管理職支援、予防教育などから、自社で優先する支援を決めていきます。
人事総務・健康経営担当者がこの判断軸を持つと、ストレスチェックは毎年の制度対応ではなく、職場改善と健康経営をつなぐ入口になります。
ストレスチェック後の職場改善を、具体的な施策まで進めたい人事総務の方へ
けんこう総研では、ストレスチェック後の職場改善、管理職支援、ストレスマネジメント研修、健康経営施策のフォローアップを行っています。
研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。