ラインケア・管理職支援
徹夜明けや夜勤明け、寝不足が続いたときに、
「眠いはずなのに妙に元気」
「なぜかテンションが上がる」
「頭が冴えている気がする」
「まだ働けそう」
と感じることがあります。
一般には「徹夜ハイ」「寝不足ハイ」「深夜ハイ」などと表現され、「疲れすぎるとハイになるのはなぜ?」「睡眠不足なのにテンションが上がるのはなぜ?」と検索されることもあります。
仕事の場面では、夜勤明けや長時間労働後の社員が「大丈夫です」「まだできます」と話していると、周囲も「思ったより元気そうだ」と判断してしまいがちです。
しかし重要なのは、本人が元気に感じていることと、判断・確認・対人対応を通常どおり行えることは同じではないという点です。
なお、ここでいう「ランナーズハイのような状態」は、運動時に起こるランナーズハイと同じ生理現象だと断定するものではありません。
徹夜明けや夜勤明けに生じる一時的な高揚感を、「疲労が回復した」「好調になった」と誤認しないための表現として扱います。
徹夜明け・寝不足なのにハイになるのはなぜ?
寝不足や長時間の活動が続いているにもかかわらず、逆にテンションが上がったり、妙に元気になったように感じたりすることがあります。
本人には、
- 眠くない
- 会話が増える
- 気分が高揚する
- 仕事が進む気がする
- 「まだいける」と感じる
といった変化が見えることがあります。
そのため、「疲れを乗り越えた」「眠気がなくなったから大丈夫」と考えてしまうことがあります。
しかし、眠気をあまり感じないことと、睡眠不足そのものが解消されたことは別です。
特に仕事では、「眠そうに見えるか」「本人が疲れたと言っているか」だけを基準にすると、疲労している可能性を見落とすことがあります。
「疲れすぎてハイになる」「寝不足ハイ」に正式な名前はある?
「疲れすぎてハイになる現象の名前は?」
「寝不足でテンションが上がるのは何という状態?」
と調べる方もいます。
日常的には「徹夜ハイ」「寝不足ハイ」「深夜ハイ」などと呼ばれますが、これらがそのまま医学的な正式名称というわけではありません。
そのため、
「名前がついているから問題ない」
「ランナーズハイと同じだから安全」
と判断するのではなく、
- どのくらい睡眠を取れているか
- どのくらい長く働いているか
- 休憩が取れているか
- この後どのような仕事をするのか
を見ることが大切です。
職場で特に注意したいのは、本人の主観的な元気さと、仕事を安全・正確に続けられる状態を同じものとして扱わないことです。
徹夜明け・夜勤明けに注意したいのは「元気さ」より仕事の内容
夜勤明けの社員が、
「全然眠くありません」
「今日は調子がいいです」
「まだ働けます」
と話していたとします。
このとき、管理職が確認したいのは「本当に元気そうか」だけではありません。
この勤務状況の後に、通常と同じ仕事を任せてよいのかです。
特に確認したいのは、次のような業務です。
- 重要事項を一人で判断する仕事
- 入力・照合・安全確認など、ミスを見落とせない仕事
- 顧客との重要なやり取り
- クレームなど感情負荷の高い対応
- 運転
- 機械操作
- 危険作業
本人が「大丈夫」と感じていても、担当する業務によって必要な確認は変わります。
徹夜明け・夜勤明けの問題を、本人の体調だけではなく「その状態で何を任せるか」という業務判断として考えることが重要です。
「元気そうだから大丈夫」が職場の判断基準になっていないか
タニカワ久美子が企業研修で確認してきたのは、疲労についての知識不足だけではありません。
実際の職場では、疲労している可能性のある社員を前にしたときの判断基準が決まっていないため、対応が本人任せになることがあります。
たとえば、
夜勤明けの社員が「まだできます」と言う。
管理職は「本人がそう言うなら」と仕事を続けさせる。
人事総務は、ミスやヒヤリハットが起きるまで、その判断がどのように行われていたか把握できない。
という状態です。
特に確認したいのは、次のような職場です。
- 重要事項を一人で判断させている
- 入力・照合・安全確認を本人だけで完結させている
- クレームや感情負荷の高い対応を続けさせている
- 運転、機械操作、危険作業を勤務直後まで担当させている
- 休憩や交代を本人の申告だけに任せている
問題は「眠そうにしているか」ではありません。
疲労が見えにくい社員にも、通常勤務と同じ判断・確認・高負荷業務をそのまま求めていないかです。
夜勤明けなのに元気な社員を、管理職はどう判断するか
管理職が見るポイントを整理すると、次のようになります。
| 社員の見え方 | 誤認しやすい判断 | 実際に確認したいこと |
|---|---|---|
| テンションが高い | 疲れていない | 睡眠時間・勤務時間・休憩状況 |
| 会話が多い | 頭が冴えている | 確認漏れや判断ミスが増えていないか |
| 「大丈夫」と言う | 通常勤務できる | この後に担当する業務の危険度 |
| 仕事を続けたがる | 集中できている | 休憩・交代・業務変更が必要ではないか |
| 眠そうではない | 疲労していない | 勤務実績と翌日の業務予定 |
つまり職場では、
「本人が疲れていると言っているか」だけでなく、勤務状況と担当業務を組み合わせて判断する
必要があります。
夜勤・長時間労働後の対応が「本人任せ」になっていないか
人事総務・健康経営担当者には、社員本人の状態だけでなく、職場側の判断方法も確認していただきたいところです。
たとえば御社で、
- 夜勤明けでも重要判断をそのまま任せる
- 休憩や交代を本人の申告に任せる
- 「大丈夫です」と言えば業務を続けさせる
- 管理職によって対応が違う
- ミスが起きると本人の注意不足として処理する
という状態があれば、問題は社員一人の疲労管理だけではありません。
長時間労働・疲労時の「職場側の判断基準」が決まっていない可能性があります。
比較したいのは、次のような点です。
- 夜勤明けや長時間勤務後に、どの業務を外すのか
- 休憩や業務交代を誰が判断するのか
- 本人が「大丈夫です」と言った場合でも、勤務状況を確認しているか
- 重要判断や確認作業を一人に任せない基準があるか
- 管理職によって対応が大きく変わっていないか
ここまで確認すると、「疲労について知っているか」ではなく、現在の管理職対応で足りるのか、それとも職場共通の判断基準を整える必要があるのかを検討できます。
長時間労働・疲労時の管理職対応を、自社で確認したいご担当者様へ
けんこう総研では、人事総務・健康経営担当者が、長時間労働、夜勤・交代勤務、繁忙期、緊急対応、連続勤務などの後に、管理職がどのような基準で業務継続・休憩・交代・確認体制を判断しているかを確認できる「長時間労働・疲労時の管理職対応判断シート」を作成しています。
まだ研修を依頼する段階でなくてもご利用いただけます。
本人の「大丈夫です」という申告や、管理職個人の経験だけに対応が依存していないか、まず自社の状態を整理するためにご活用ください。
管理職研修が必要になる職場の判断基準
次のような状態がある場合、勤務者本人への注意喚起だけでは改善しにくくなります。
- 管理職ごとに休憩・交代判断が違う
- 「本人が大丈夫と言った」が業務継続の根拠になっている
- 夜勤明けにも重要判断や確認業務が集中している
- 疲労を申告すると周囲へ迷惑をかける雰囲気がある
- ヒヤリハット後も個人の注意不足として処理している
この状態で必要なのは、社員に「もっと自己管理してください」と伝えるだけの研修ではありません。
管理職が、
- 勤務時間
- 睡眠・休憩状況
- 担当業務の危険度
- 確認作業の重要度
を見ながら、
「続けさせる・休ませる・交代する・確認者を増やす」
を判断できる状態にすることが必要です。
タニカワ久美子の研修では「気づき」を業務判断へ変える
研修現場で「睡眠不足には注意しましょう」「疲労をためないようにしましょう」と知識を伝えるだけでは、実際の職場判断まで変わらないことがあります。
そこでタニカワ久美子の管理職研修では、
夜勤明けや長時間勤務後の社員を前にしたとき、何を確認し、何を任せず、誰と業務を分けるのか
まで具体化します。
たとえば、
「まだいける?」
と本人に判断を委ねる状態から、
「勤務時間と休憩状況を確認して、ここからの確認業務は別の担当者と分けましょう」
と管理職が判断できる状態へ変えていきます。
研修で変える対象は、疲労そのものではありません。
疲労している可能性のある社員を前にしたときの、管理職と職場の意思決定です。
夜勤明けの判断ミスを「本人の自己管理」だけで終わらせないために
夜勤明けや徹夜後に、妙に元気に見えること自体を問題視する必要はありません。
確認したいのは、
その元気そうな見え方や本人の自己申告だけを根拠に、重要判断や高負荷業務を通常どおり任せる仕組みになっていないか
です。
徹夜ハイ、寝不足ハイ、夜勤明けの高揚感について調べるところが検索の入口だとしても、職場での最終的な課題は、
「なぜハイになるのか」
だけではありません。
その状態の社員に、誰が、何を、どこまで任せるのか。
ここまで決めて初めて、職場の疲労管理になります。
夜勤明けや長時間勤務後の働かせ方が、管理職個人の経験や感覚に依存している場合は、管理職共通の判断基準を整える必要があります。
夜勤・長時間勤務後の判断基準を、管理職共通の行動ルールにしたい企業様へ
けんこう総研では、睡眠不足や疲労についての知識説明だけではなく、休憩、交代、確認体制、声かけ、業務配分まで、実際の職場行動へ落とし込む管理職研修を設計しています。
御社の場合、この問題を「社員本人の疲労管理」だけで終わらせず、管理職が業務配分と業務継続を判断できる仕組みへ変えることが、ラインケア研修の役割です。
医療的な相談について
強い不眠、極端な眠気、動悸、強い気分の高ぶりなどが続く場合は、職場での疲労管理だけで判断せず、必要に応じて医療機関や専門家へ相談してください。
文責:タニカワ久美子
研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。