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研修で本当にメンタルヘルス対策ができるのか?

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健康経営

研修で本当にメンタルヘルス対策ができるのか?

こんにちは、けんこう総研のタニカワ久美子です。

健康経営に取り組もうとする中小企業の多くが、
最初に選択する手段の一つが「メンタルヘルス研修」です。

しかし現場では、次のような声を繰り返し耳にします。

「研修は実施したが、職場の雰囲気はあまり変わらなかった」
「不調者は減らず、結局どうすればよいのか分からない」

本記事では、
研修はメンタルヘルス対策として本当に機能するのか
そしてなぜ多くの中小企業で健康経営が“実施できていない状態”に陥るのかを、
現場視点で整理していきます。

講師タニカワ久美子研修風景写真

研修はメンタルヘルス対策の「答え」ではありません。どの役割を担わせ、どこに限界があるのかを理解することが、健康経営を前に進める第一歩になります。


研修は「対策」なのか、それとも「きっかけ」なのか

まず前提として整理したいのは、
研修は本来、職場に必要な知識やスキルを学ぶための場だという点です。

新しい視点を得る、考え方を知る、共通言語をつくる。
これらは研修が得意とする役割です。

一方で、研修を実施しただけで
職場の人間関係や業務構造、不調の要因そのものが
自動的に改善されるわけではありません。

ここを混同すると、
「研修=メンタルヘルス対策」という誤解が生まれ、
健康経営が形骸化していきます。


研修が逆に負担になるケースもある

研修は、設計を誤ると
メンタルヘルス対策どころか、
新たなストレス要因になることもあります。

たとえば、

  • 目的が曖昧なままの強制参加型研修
  • 評価や査定と結びついていると受け取られる研修
  • 「実践に落とし込む」と言いながら、具体が示されない研修

このような研修では、
参加者は学ぶよりも
「どう評価されるのか」「正解は何か」を気にするようになり、
安心して参加できなくなります。

結果として、
研修の場そのものが心理的負荷を生むケースも少なくありません。


抽象的な研修が健康経営を止めてしまう理由

メンタルヘルス研修では、
「コミュニケーション能力」「アサーション」
といった言葉がよく使われます。

しかし、これらが
具体的にどの行動を指し、何ができるようになればよいのか
が示されないまま進むと、
研修後に現場で迷いが生じます。

うまくいったときは
「コミュニケーション能力が高い」と評価され、
問題が起きたときは
「配慮が足りない」「ハラスメントだ」と言われる。

このような状況は、
社員にとって非常に不安定で、
メンタルヘルス対策としては逆効果です。

抽象的な概念を学ぶこと自体が問題なのではありません。
現場でどう扱うかが設計されていないことが問題なのです。


「一律研修」が機能しにくい理由

中小企業では、
限られたリソースの中で
全社員を対象に同じ研修を行うケースが多く見られます。

しかし、

人と接することが得意な人
静かに集中して力を発揮する人
サポート役に向いている人

これらを同じ枠組みで変えようとすること自体が、
無理を生みやすくなります。

メンタルヘルス対策とは、
性格や行動を矯正することではありません。


それぞれの特性が活かされる配置や関わり方を考えること

が、本来の方向性です。


研修で補えないものを、職場でどう補うか

では、研修は不要なのでしょうか。
答えは、NOです。

研修は、
職場を変えるための「入口」としては有効です。

重要なのは、
研修で学んだ内容を

  • 職場でどう試すのか
  • どこで対話するのか
  • 誰が振り返るのか

といった日常の仕組みに接続できているかどうかです。

チーム単位での話し合い、
部門を超えた対話の場、
小さな気づきを共有できる仕組み。

こうした環境があって初めて、
研修の内容はメンタルヘルス対策として機能し始めます。


中小企業が陥りやすい「研修依存」という落とし穴

健康経営を実施できない中小企業に共通する理由の一つが、


「とりあえず研修をやれば何とかなる」

という思い込みです。

研修は万能ではありません。
しかし、役割を正しく理解すれば、
健康経営を前に進める有効な手段になります。

研修に何を期待し、
何を職場の仕組みで補うのか。

この整理ができたとき、
研修は「やった感」の施策ではなく、
健康経営を動かす一つの歯車になります。


まとめ:研修は「答え」ではなく「問い」を持ち帰る場

メンタルヘルス対策としての研修の価値は、
答えを教えることではありません。


職場で何が起きているのか、
どこに負荷がかかっているのか、
何を見直す必要があるのか。

こうした「問い」を持ち帰り、
職場で対話し、調整していく。

そのプロセスこそが、
中小企業にとって現実的で持続可能な
健康経営の第一歩です。

研修を「実施すること」ではなく、
どう使うかという視点で、
メンタルヘルス対策を再設計していきましょう。

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