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ストレス研究memo

内受容と自己追跡技術がストレス管理に与える影響Vol.136

2024年9月20日更新

こんにちは、けんこう総研のタニカワです。
このストレス管理研究ブログは

最新の学術論文調査をする白衣の女性

このブログでは、自己追跡技術がストレス管理に与える影響について解説します。心拍や呼吸などの身体データを数値やシンボリックに可視化する方法と、内受容感覚がストレス軽減や習慣形成にどう役立つのかを探ります。


「ストレス管理とインターオセプション/内なる感覚が健康に与える影響」
「ストレス管理とインターオセプション/内なる感覚が健康に与える影響」
「体内感覚を活用した新しい習慣形成法」
・きのうの「ストレス管理Vol.135」のつづきです。
さあ、始めましょう。

今日は、Interoception and Ambient versus Numerical Representations of Data「内受容とデータの環境的表現と数値的表現」の段落からの解説をします。

自己追跡技術とデータの視覚化

自己追跡技術は、心拍や呼吸といった有機的なプロセスや、睡眠や歩行といった身体活動を長期間にわたってモニタリングするためのツールです。
一般的に、自己追跡技術は、数値データやグラフ形でユーザーが見られるようにしてます。自己追跡技術で、身体活動をデータ化することで、ユーザーは自分の体に関する知識を得られるきっかけになります。
また、自己追跡技術を通じて、ストレスレベルといった特定された身体的パフォーマンスの一面を最適化するための新しい習慣を開発したりすることが可能になります。

しかし、すべての自己追跡デバイスが同じ形でデータを表現するわけではありません。あるデバイスは、ユーザーの活動を1日中モニタリングし、設定された目標や過去の日々、または他のユーザーの統計データと比較して、ユーザーに数値やグラフの形で結果を伝えます。
別のデバイスでは、リアルタイムでフィードバックができます。たとえば、心拍数や呼吸のような体内プロセスを追跡して、心拍数があるポイントを超えるか、呼吸パターンが事前に設定された理想的な速度から大きく逸脱した場合に、触覚や視覚的なフィードバックを提供します。

ストレス管理における内受容感覚の役割

ウェアラブル技術がさまざまな次元で役割を果たす可能性がある一方で、この研究論文では、心拍数、速度、距離の測定に焦点を当てて、内受容感覚(インターオセプション)の関与を研究しています。
自己追跡デバイスが使われるようになったのは、運動以外に、ストレス軽減を目的とした日常生活に焦点があてられるようになったからです。

多くのウェアラブルデバイスは、心拍や呼吸、皮膚の電気伝導率をモニタリングして、日常生活におけるストレス反応を推定しています。
ストレス反応の推定技術は、身体データがストレス反応を示すとユーザーに通知されます。

長期間にわたった自己追跡デバイスの即時フィードバックを使うことによって、
1.Why どのような状況がストレス反応を引き起こすのか
2.What ストレスの初期兆候を認識する方法
3.How どのように対処すべきか

 

といったユーザーの意識を高めることが期待できます。
この自己追跡デバイスの即時性を有効にするために、ウェアラブルデバイスの各メーカーは、視覚的または触覚的な情報に研鑽しています。

自己追跡デバイスメーカー事例1

「アポロ(Apollo)」というリストバンドデバイスは、1日を通してユーザーを「落ち着かせる」ような振動を与えることで、ユーザーをリラックスさせます。ウェアラブルデバイスがユーザーの生活において積極的な役割を果たし、ユーザーの生活の改善を強調しています。
自己追跡デバイスは、身体データを数値化させた自己決定的な主体のツールとしてではなく、シームレスで無意識的な関与に力を注いでると説明しています。

自己追跡デバイスメーカー事例2

「リーフ(Lief)」には、身体データが目標範囲から外れた際にユーザーに警告を発することで、反射的なコンポーネントが含まれています。
リーフの自己追跡デバイスは、心拍や呼吸などの身体内部のプロセスに、ユーザーが置かれている環境や状況と有意味に結びつけることができます。
リーフは、

フロスト(Frost)の「環境の過程と身体が受け身ではなく、絡み合いながら反応し合う関係」という概念


インデックス的な記号として扱っています。

データと感覚の融合による自己理解の深化

このような自己追跡デバイスは、特定の閾値(心拍数や呼吸パターンなど)が超えたときにユーザーに通知するため、インデックス的な記号として機能し、ユーザーの注意を身体的プロセスに向け、その行動を変える(たとえば、呼吸やペースを遅くする)ことができます。

明日は、数値的な可視化やグラフ、あるいは「データ・ダブル」として表現されたデータとの関わりにおいて、内受容感覚と内受容意識がどのように作用するかについて考察します。ボルディ(Boldi)とラップ(Rapp)(2022年)の最近の著作を中心に、自己追跡が「身体スキーマ」「身体イメージ」「身体意識」「内受容」「外受容」「固有受容」に与える影響について特に注目して議論します。
とうとう明日は、「結果」にはいっていきます。お楽しみに。

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