お知らせ
けんこう総研代表タニカワが東京大学大学院でのストレス研究調査開始
2024年7月23日更新
プレスリリース
株式会社けんこう総研の代表取締役社長、タニカワ久美子氏は、東京大学大学院情報学環において、働きながらストレス研究を行っております。指導教官は情報学環の佐倉統教授であり、佐倉教授のもとで東京大学大学院の倫理審査委員会から承認を得た研究を遂行しています。
お知らせ
この研究は、株式会社スカイアーチネットワークスの社員を調査対象とした「生理学的ストレスと心理学的ストレスの同時評価における検討~ウエアラブルデバイスを用いた身体活動量軽度(デスクワーカーを対象とした)の運動習慣の有無による群別実証研究~」です。
タニカワ久美子氏が実施した運動教室の詳細な模様は、株式会社スカイアーチネットワークスの公式ブログにて報告されています。ぜひご覧ください。
ブログ記事はこちら
研究の背景と目的
ストレスは現代社会において多くの人々が直面する問題であり、その影響は個人の健康、企業の生産性、社会全体の幸福に及びます。
特にデスクワーカーは身体活動が少なく、運動不足によるストレスが健康に与える影響が大きいとされています。本研究の目的は、運動が生理学的および心理学的ストレスにどのような影響を与えるかを明らかにすることです。特に、運動習慣の有無によるストレス反応の違いを評価し、デスクワーカーの健康管理における新しいアプローチを提案することを目指しています。
研究の概要
研究課題
「生理学的ストレスと心理学的ストレスの同時評価における検討~ウエアラブルデバイスを用いた身体活動量軽度(デスクワーカーを対象とした)の運動習慣の有無による群別実証研究~」
目的
運動が生理学的ストレスおよび心理学的ストレスに与える影響を明らかにすること。
意義
運動に対する反応の個体差を分析し、個別化されたストレス管理方法を提案すること。
使用機器
腕時計型ウエアラブルデバイス(GARMIN vivosmart 4)
対象者
デスクワーカー10名
方法
運動習慣の有無に基づいて参加者を分類し、運動中の心拍変動とストレスレベルをモニタリング。運動前後の心理的ストレスをMAS(Manifest Anxiety Scale)で評価。
調査の詳細
調査は、株式会社スカイアーチネットワークスの会議室にて行われ、参加者は以下の手順で調査に参加しました。
1. 説明と同意取得
研究の目的、手続き、潜在的リスク及び利益について説明し、同意書に署名。
2. ウェアラブルデバイスの装着
手首にデバイスを装着し、活動計測を開始。
3. 質問紙の回答
MASを含む質問紙に回答。
MASとは
1951年にJ.A.テイラーによって開発されました。質問紙法による不安測定です。
TPI(Taylor Personality Inventory)ともいわれます。
MASの特徴
MASの主要な目的は、心身にまつわるさまざまな「不安の程度」を測定して心理的問題のスクリーニングをすることです。
本テストによって不安の程度を調べ、必要な場合には、さらに不安の種類や原因に関する検査を行います。
最も問題とされることは、この検査が顕在性の不安の検出が目的であることです。そのため、無意識的な不安の検出には不適であるとされます。これは主観的、内観報告としての不安の抽出に基づく限界です。これらの問題を回避する方法には、ロールシャッハテストなどの投影法的な検査をテストバッテリーとして組むことがあります。
本テストはMMPIのN.キャメロンの慢性不安反応に関する理論を基に不安を記述していると思われる項目の中から50項目選択抽出しています。日本版MASでは、15項目の虚偽尺度が加えられ、全65項目となっています。
4. 運動実施
運動負荷が弱度の深呼吸法と静的ストレッチ、中強度の動的ストレッチと無酸素運動を実施。
5. デバイスの返却
運動終了後、デバイスを返却。
結果の分析
この調査により得られたデータは、心拍変動(HRV)およびストレスレベルの測定結果と、MASによる心理的ストレス評価結果に基づいて分析中です。運動習慣のあるグループとないグループの間での生理学的および心理学的ストレス反応の違いを詳細に評価し、それぞれのデータを統計的に検証します。
今後の展望
本研究は、運動習慣の有無によるストレス反応の違いを明らかにすることで、デスクワーカーの健康管理における新しいアプローチを提案することを目指しています。得られた知見は、個別化されたストレス管理方法の開発に寄与するものと期待されます。具体的には、デスクワーカー向けの運動プログラムの開発や企業の健康経営戦略に役立てられるでしょう。