健康リーダー応援コラム
ZOOMオンライン研修/健康経営で知っておくべき感情労働メンタルヘルス
2021年9月8日更新
「タニカワ先生、いやもう忙しくってなかなか手がつけられなくて」── 健康経営で新しい働き方改革をお考えの総務部のご担当者で、本当に忙しくて社員のメンタルヘルス対策がなかなかできない状態のようで、悲鳴にも近い感じでお話しされたときの言葉です。
けんこう総研には、産業医や産業保健師さんといった専門職の方のみならず、現在総務部や人事課で、同時並行的に新たな取り組みとして社内の健康経営を手掛けているという担当者の方々とのコンサルティング支援で会社訪問をしています。
何かを始めるにあたって、「しっかり時間が確保できている」という担当部署は、極めて稀でしょう。圧倒的大多数の総務・人事課及び健康管理担当者は、「時間がギリギリ」とか、「どうやっても時間が足りない」というのが、ある意味普通かもしれません。
「あともう少し時間があれば~」の言葉はよく聞く言葉ですが、この「時間がない中でなんとかする」ということは、現実問題、必ずといっていいほど遭遇してしまう悩みと言えるでしょう。
健康経営への施策への第一歩を踏み出す考え方
ただし、健康経営を考えるとき、知っておかなければならないことが一つあります。それは、「日々の仕事の不満からくる体調不調を解決し、社員が最大のパフォーマンスを引き出すサポートをする」ということです。
何がいいたいかということですが、人は誰でも、ビジネスマンでも、「楽しみ」には、なんだかんだと時間を割いても大丈夫です。
というより、ある意味それは普通のことです。「楽しみというやりがい」があることで、奮起し、頑張れるのです。何の楽しみもない、または用意されていない中でやる気を出せと言われても出来るわけないのと同じです。御社の社員のやりがいをみつけることが第1番の健康経営への施策への第一歩ということです。
一方で、何事においても「締め切り」や「期日」、「納期」「デッドライン」「約束の日」といったものが存在します。そして一定の品質も、同時に求められています。当たり前ですよね? そう当たり前です。だからこそ、新しく改革には多かれ少なかれ「イヤな事」だったり「プレッシャー」だったり「苦痛」だったり「面倒」だったりします。だからこそ「やる」という現実があります。新しい仕事に誰もプレッシャーも何も感じないとしたら「真面目にやることすらしなくなる」言い換えると遣り甲斐がその改革にはないということです。
さらにこの新しい健康経営を「面倒」なこととして回避しようとすると、間違いなく後で問題が起きることは皆さまも百も承知の上でしょう。本質は変わりません。セクハラパワハラがまかり通っていた昭和時代は、叱られたり、成績が悪くなったり、缶詰め状態でやらされたり・・・。そうした経験をした人は多いと思いますが、仕事でも、「なんで終わってないんだ?」と叱責されたり、徹夜して作ったプレゼンが不採用になったりと、ひどい目に遭った数をあげたらきりがないかもしれません。それだからビジネスパーソンとして要領よく歩んできた人ほど時間管理術的なことが上手です。
ただし、もう一点、押さえておくべき重要なポイントがあります。それは、「メンタルヘルス対策をする健康経営と、メンタルヘルス不調にならないようにする健康経営は、大きく異なる」という点です。一般的に、メンタルヘルスと、身体の健康は別々に取り扱われます。今現在の社員の健康状態を変化させるためにを考えると、どうしてもその場しのぎの解決策的なメンタルヘルス対策になりがちです。そのメンタルヘルスの基準を、ストレスチェックのストレスレベルだけに基づいているのか?ということです。
もし、このメンタルヘルス対策というのが、現在の状況において大問題であり、健康推進のために重要ということであれば、この重要というのは重要であっても、未来に健康経営改革を起こすための重要さではないはずです。もちろん、現状で起きているメンタルヘルス対策を放っておくわけには当然いきません。しかし、これだけに消耗してしまえば、健康リーダーとしてのマネジメントスキルの在り方を垣間見えてしまいます。あくまで表面に現れたメンタルヘルス対策をするのではなく、現状の起因している本当の原因をリサーチしない限り、いつまでも同じメンタルヘルス問題は起き続けるはずです。
そこでより総合的なアプローチをとりメンタルヘルスの課題への取り組みをおすすめします。まずは職場でかかえている社員のメンタルヘルスの共通項をあぶりだします。次に総合的に柔軟に改善する汎用的なフレームワークを産業職や人事・健康管理部署で社員に提供するのがベターです。鬱病だけではなく、肥満や集中力がない、慢性疲労、不眠、やる気がない社員といった、一見バラバラのように見える健康問題も、実は1本の線でつながっていたりします。そしてその線をたどり共通項をはっけんすることが「健康経営」の実践です。
貴殿は、職場環境を変えるために、そしてメンタルヘルスの健康をつくっていくために、どのようなフレームワークができていますか? そこにしっかり時間を最優先であてていっていますか?