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健康リーダー応援コラム

健康経営戦略マップを作るのに役立つフレームワークの紹介

2024年10月2日更新

こんにちは、けんこう総研代表のタニカワです。
今日は、従業員の健康やエンゲージメントを改善させ、ひ企業価値向上に大事な“健康経営戦略マップ”の作成についてお話ししていきます。

健康経営戦略マップとは

健康経営戦略マップとは、企業や組織が従業員の健康を重要な経営資源として位置づけ、戦略的に健康経営を推進するための計画や手法を体系的に可視化したものです。
健康管理施策が、企業の全体戦略や事業目標と整合し、効果的に実施されることを目標とします。

経産省戦略マップ

経営課題や、その経営課題につながる健康課題を特定しその課題を解消する落とし込みをするのが戦略マップです。


※経産省ホームページより抜粋

戦略マップの要素

戦略マップは、大きく分類して6つの要素を組み合わせます。

1. 経営目標とフレームワークの連携

健康経営は、企業の業績向上や持続的な成長にどう貢献させるかを明確にします。それには健康施策が、従業員の生産性向上やコスト削減、リスク管理といった経営目標に結びついていることを示すためのフレームワークがあります。

健康経営を経営目標に結びつけるための具体的なフレームワークには、いくつかの代表的なモデルや手法があります。どのフレームワークも健康経営施策が、企業の全体戦略や事業目標にどう貢献するかを明確に示すことが重要です。

1. バランスト・スコアカード (BSC: Balanced Scorecard)

バランスト・スコアカードとは、財務指標に加え、非財務的な指標(顧客、内部プロセス、学習と成長)もバランスよく評価するフレームワークです。
健康経営においては、従業員の健康や幸福度を「内部プロセス」や「学習と成長」の観点に組み込み、経営目標達成にどう貢献するかを定量的に示します。

・財務の視点では、健康経営施策による生産性向上やコスト削減が、収益改善にどのように影響するかを評価します。
・顧客の視点では、健康経営が従業員の満足度を向上させ、最終的には顧客満足度やブランド価値向上にどうつながるかを示します。
・内部プロセスの視点では、健康経営施策が業務効率化やミスの減少につながる内部プロセスの改善をどうもたらすかを説明します。
・学習と成長の視点では、従業員の健康を支えることで、学びの機会や成長の促進がどのように企業の長期的な成長につながるかを示します。

2. PDCAサイクル (Plan-Do-Check-Act)

PDCAサイクルは、業務改善を計画し、実施し、評価し、改善を繰り返すフレームワークとして知らない方はいないでしょう。健康経営でも、このサイクルを適用して、施策の効果を持続的に確認し、改善することができます。

・Plan(計画)で、健康診断結果や従業員アンケートを基に、健康経営の目標を設定し、具体的な施策を計画する。
・Do(実施)で、メンタルヘルス対策やフィットネスプログラムなどの施策を実行する。
・Check(評価)で、従業員の健康改善度や生産性の変化を定量的に評価し、経営目標達成にどの程度寄与したかを確認。
・Act(改善)で、評価結果を基に、次の改善策を計画し、サイクルを繰り返す。

3. リターン・オン・インベストメント (ROI: Return on Investment)

健康経営におけるROIは、健康施策に投資したコストに対するリターンを測定するフレームワークです。具体的には、従業員の健康状態が改善された結果、欠勤率が下がり、業務効率が向上し、医療コストが削減されたかどうかを評価します。この評価を基に、健康経営施策が経営目標にどう貢献しているかを数値化します。

・コスト面は、健康施策にかかる直接費用(プログラムの運営費、人件費)を計算。
・効果面は、施策の実施によって削減できた医療費や欠勤日数の減少、生産性向上による業績への影響を定量化。
・ROIの計算は、効果(リターン)を投資(コスト)で割り、健康経営の費用対効果を評価。

4. KPI(重要業績評価指標)による目標設定

健康経営に関連するKPIを設定し、これを企業の経営目標とリンクさせます。例えば、従業員のストレスレベルや欠勤率、健康診断結果をKPIとし、これらの指標がどの程度改善されることで、企業全体の業績が向上するかをフレームワークとして示します。

・欠勤率では、欠勤率の低下が、労働生産性の向上や業務効率化にどうつながるかを指標化。
・健康診断結果では、健康診断データを活用し、従業員の健康状態の改善が長期的な企業の持続可能な成長にどう影響するかを分析。
・ストレスレベルでは、従業員のメンタルヘルスが改善されることで、職場環境や離職率にどのような変化が起きるかを評価。

5. カスケード戦略

カスケード戦略とは、企業全体の経営目標を、組織全体に「カスケード(階層的)」に展開するフレームワークのことです。トップダウンで経営目標が各部門やチームに伝達され、その部門の目標がさらに個々の従業員の目標にまで落とし込まれる手法です。生産性向上や、社員定着率の向上企業といった企業の最終的なゴールを現場の具体的な健康施策に結びつけ、全員が共通の目標を持つようにします。

・経営層は、全社的な健康経営目標を設定し、戦略的意義を示します。
・各部門では、部門ごとの健康関連の目標を設定し、具体的な行動計画を立てます。
・従業員には、従業員一人ひとりに具体的な健康管理の目標を与え、自己管理を促進させます。

6. サスティナビリティフレームワーク

健康経営を持続可能な経営戦略と結びつけるためのフレームワークです。ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点で、従業員の健康を向上させることが社会的な責任(CSR)と経済的利益の両方にどう貢献するかを可視化します。例えば、従業員の健康が企業の長期的な競争力や持続的な成長に貢献することを評価します。

この6つのフレームワークを活用することで、健康経営施策が経営目標にどう関連し、その進捗をどのように測定するかが明確になり、企業全体での効果的な実施が可能になります。

2. 健康施策の導入

健康診断、メンタルヘルスケア、職場環境改善、ストレス管理研修、フィットネスプログラムなど、従業員の心身の健康を保つために欠かせない施策を戦略マップに組み込むことで、施策の全体像とその効果を明確にします。

3. KPI(重要業績評価指標)設定

健康経営がどの程度進捗しているかを評価するための指標を設定します。従業員の病欠率や、健康診断の結果、職場の生産性、メンタルヘルス改善度などが考えられます。これにより、健康経営施策の効果測定と継続的な改善が可能となります。

4. リーダーシップと組織文化

健康経営を成功させるためには、経営層のリーダーシップと健康を重視する企業文化が不可欠です。戦略マップでは、健康経営を推進するためのリーダーシップの役割や組織文化の変革についても位置づけます。

5. 費用対効果の評価

健康施策にかかるコストと、施策によって得られる生産性の向上や従業員の定着率のメリットとのバランスを評価し、効果的な経営資源の配分を行うための指針を戦略マップに示します。

6. ステークホルダーの関与

健康経営は従業員だけでなく、顧客や株主などの外部ステークホルダーにも影響を与えます。戦略マップでは、これらの関係者への影響も考慮し、健康経営の推進を企業全体の課題として捉えます。

健康経営戦略マップは、企業が従業員の健康管理に投資することで、長期的な経済的効果や組織の活性化を実現し、持続可能な成長を促進するための重要なツールとなります。

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