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ストレス研究memo

タニカワ久美子のストレス研究memoVol.178

2024年12月17日更新

心拍数(Heart Rate: HR)の変動幅は、心血管および自律神経系の健康状態を評価する重要な指標である。

健康経営でポジティブな気持ちの従業員

デスクワーカを対象に、運動習慣および顕在性不安が心拍数に与える影響を調査したパイロットスタディです。心拍数の変動パターンをウェアラブルデバイスで客観的に測定し、ストレス管理や健康増進の基礎データを提供することを目的とした研究をの備忘録です

ストレスと心拍数の関係について

Foxら(1971)およびColeら(1999)の研究は、運動直後における心拍数の回復速度が心血管系の健全性を示す指標として有効であることを示しており、特に1分間に12拍以上の減少が健康的な心臓自律神経の機能を反映することを報告している。一方、心拍数の回復が不十分である場合、心血管疾患リスクが高まる可能性が指摘されている。さらに、運動中の心拍数の増加と運動後の適切な低下は、自律神経系のバランスが良好であることを示す指標として注目されている(Lahiriら, 2008; Buchheitら, 2007)。この変動幅が大きいことは、ストレス耐性や健康的な生理的応答能力が高いことを意味する。

運動が健康に与える影響

運動が健康に与える影響は、運動の方法や状況によって多様である。Ben-Singh(2023)は、強制的または義務的な運動が心理的ストレスを増加させ、健康効果を相殺する可能性を報告している。運動不足や運動に苦手意識を持つ人々にとって、運動そのものが新たなストレス源となり得る。こうした状況では、心拍数の変動をモニタリングすることで運動時および運動後のストレス反応を客観的に評価することが可能である。心拍数は、自律神経系の活動を反映する生理的指標として、ストレスや健康状態の評価に広く用いられている(Kimら, 2018)

ウエアラブルデバイスについて

近年、ウェアラブルデバイス技術の進展により、日常生活や運動中の心拍数変動をリアルタイムでモニタリングすることが可能となった。この技術により、個人の生理的ストレス反応を即時的に把握し、適切な管理を行うためのデータが得られるようになった。このような背景を踏まえ、本研究ではデスクワーカーを対象に、運動習慣および顕在性不安度が心拍数変動に与える影響を探索的に調査することを目的とする。

本研究は以下の視点を中心に構築されている。第一に、心拍数の変動パターンを詳細に解析することで、運動習慣や心理的要因が心血管および自律神経系の応答に与える影響を明らかにすること。第二に、得られたデータを基に、将来的な大規模研究の基盤となる仮説を形成することである。これにより、個別化されたストレス管理および健康増進プログラムの設計に寄与する知見を提供することを目指す。

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