ストレス研究memo
研究レポートVol.166デスクワーカーのストレス測定と運動効果
2024年11月9日更新
皆さんこんにちは、けんこう総研代表のタニカワ久美子です。
現在執筆中の研究論文の一部を、ブログにてシェアしたいと思います。
今回の研究では、心拍数や心理的ストレスの測定に基づいて、運動がデスクワーカーに与える影響を調べたのでお伝えしていきます。
1) 研究対象
この研究には、デスクワークを行う20代から50代の男女10名(女性6名、男性4名)が参加していただけました。
対象者全員に、Garmin製の手首型ウェアラブルデバイスを装着してもらい、心拍数とストレスレベルをモニタリングしました。
2) 調査の実施時期と場所
本調査は2024年7月に、東京都内のIT企業本社会議室で行いました。
3) 運動習慣の有無
対象者の運動習慣は、厚生労働省が定める「健康づくりのための身体活動・運動ガイド(2023)」に基づき、週に2回以上30分の運動を1年以上続けているかどうかで分類しました。
4) 心理的ストレスの評価方法
心理的ストレスレベルの測定には、日本版MMPI顕在性不安検査(MAS)を使用しました。対象者は、自己報告形式の65項目の質問紙に記入し、顕在性不安度を評価しました。
5) 実証研究の実施方法
運動は、ストレス軽減効果があるとされるプログラムをセミナー形式で行いました。運動の強度は、1 METsから10 METsの範囲で調整し、Fig.1に示されるスケジュールに従って進めました。運動中は心拍数とストレスレベルをリアルタイムで測定し、データをオフラインでPCに集めて解析しました。環境は個々のスペースを確保し、参加者が互いに影響を与えないよう配慮しました。
6) データ収集と解析方法
1時間の運動セミナー中、心拍数は15秒ごとに測定しました。データは各ウェアラブルデバイスからAPIを用いて集約されました。サンプル数が10名と少ないため、統計解析はせずに個別解析を実施。各参加者の心拍数の平均値や最大値を視覚的に評価し、運動習慣と不安度が心拍数に及ぼす影響を調べました。
7) 運動介入の影響評価
個別解析の結果、運動習慣のない参加者や不安度が高い参加者では、運動後も交感神経の活性化が続き、心拍数が高止まりする傾向が確認されました。運動中および運動後の心拍数の変動を折れ線グラフにまとめ、動的な変化を観察しました。
8) 倫理的配慮
本研究は東京大学大学院情報学環・学際情報学府の倫理審査委員会による承認を得ています。
まだまだ分析と執筆途中でちゃんとしたものを公開できず心苦しいのですが、必ずやデスクワーカーの健康改善に役立つデータを提供していきます。
読者の皆さまが、少しでも健康に関する新たな知見を得ていただければ幸いです。