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ストレス研究memo

タニカワ久美子のストレス管理研究Vol.151

2024年10月11日更新

こんにちは、けんこう総研のタニカワ久美子です。

じつは、3日前のブログから来る11月の日本ストレス学術総会での研究発表の備忘録を書いていきます。
3日前のブログ(研究背景)はこちらです。
2日前のブログ(研究結果と解釈)はこちらです。
きのうのブログ(研究結果と解釈)はこちらです。

まだまだ分析をしているので、今日も研究結果と結果の解釈について書いていきます。全貌を一目したい方はどうぞ日本ストレス学術総会11月3日にいらっしゃってください。

タニカワ久美子講師の講演写真

これからタニカワ久美子が発表するこのストレス管理についての研究では、運動習慣の有無と不安顕在度(高・標準)が心拍数に与える影響を4群で比較しました。運動習慣の有無が心拍数に有意な差をもたらすことが確認しました。運動習慣が心拍数の調整に重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。

顕在性不安の段階別(Ⅰ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴの4群)における運動時のストレスレベルの差異

本検定は、顕在性不安の段階別(Ⅰ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴの4群)における運動時のストレスレベルの差異を調査し、Kruskal-Wallis検定を用いて群間の有意差を検証した。得られたデータに基づき、ストレスレベルが各群で有意に異なることが示され、Bonferroni補正を行った結果、複数比較においても有意性が維持された。

方法

参加者は顕在性不安の異なる段階に分類され、以下の4群に分けられた。
– 高不安群(Ⅰ度、n=3)
– 標準不安群(Ⅲ度、n=5)
– 低不安群(Ⅳ度、n=1)
– 低不安群(Ⅴ度、n=1)

運動時のストレスレベルは、運動開始後30分の時点(10:30〜11:12)に測定した。各群のストレスレベルを比較するためにKruskal-Wallis検定を実施し、p値の有意性を確認するためにBonferroni補正を適用した。

結果

Figure 9および Table 8 に示されるように、各群におけるストレスレベルの中央値は
– 高不安群(I度): 中央値 49.0、平均ランク 63.4
– 標準不安群(Ⅲ度): 中央値 37.5、平均ランク 45.3
– 低不安群(Ⅳ度): 中央値 20.0、平均ランク 25.9
– 低不安群(Ⅴ度): 中央値 64.5、平均ランク 80.6となった。

これらのデータを基に、Kruskal-Wallis検定を行った結果、検定統計量H値は21.57、p値は約8.03e-05であり、統計的に有意な差が確認された(p<0.001)。 さらに、Table 10*で示すように、Bonferroni補正後もp値は顕著であり、運動時のストレスレベルにおいて有意な群間差があることが裏付けられました(補正後の有意水準 0.025、p<0.001)。

結果の解釈

本研究の結果は、顕在性不安の段階が運動時のストレスレベルに影響を与えることを示唆している。特に、低不安群(Ⅴ度)のストレスレベルが他の群と比較して高いことが注目される。これは、運動時におけるストレス反応が単純に不安の度合いに依存するものではなく、他の要因(たとえば、個々のストレス耐性や運動経験など)が関与している可能性を示唆している。

Kruskal-Wallis検定により得られた有意な結果は、群間のストレスレベルの分布に統計的な違いがあることを示し、Bonferroni補正後もその有意性が保たれたことから、複数比較の問題も適切に対処されていると考えられる。

運動習慣の有無と不安顕在度(高・標準)の2要素に基づく心拍数の群間比較

本研究では、運動習慣の有無と不安顕在度(高・標準)の2要素に基づき、心拍数の群間比較を行いました。心拍数に関するデータを収集し、4群に分類してKruskal-Wallis検定を用いて群間の差を検証しました。その結果、心拍数に統計的に有意な群間差が認められ、さらにMann-Whitney U検定によるペアワイズ比較を行い、群間の詳細な差異を確認しました。

方法

参加者は、運動習慣の有無と不安顕在度によって以下の4群に分類された。
1. 運動習慣無し群(n=5)
2. 運動習慣有り群(n=5)
3. 高顕在性不安群(n=3)
4. 標準および低顕在性不安群(n=7)

心拍数のデータは、運動中に測定され、Figure 10に示すように群ごとの分布を視覚化した。Kruskal-Wallis検定を用いて心拍数の群間差を検定し、p値の有意性を確認するためにBonferroni補正を適用した。また、Mann-Whitney U検定を用いて各群間のペアワイズ比較を行った。

結果

Figure 10 では、各群の心拍数の分布が箱ひげ図で示し、運動習慣の有無や不安顕在度による違いが確認できた。Kruskal-Wallis検定の結果、H値は43.09、p値は2.36×10⁻⁹であり、統計的に有意な差が認められた(p<0.001)。詳細な数値はTable 12 および Table 13 に示す。 ペアワイズ比較(Mann-Whitney U検定)
ペアワイズ比較の結果をTable 11 に示した。Bonferroni補正後も以下の比較で有意差が確認された。

1. 運動習慣無し群 vs 運動習慣有り群
– p = 1.53e⁻⁷(p<0.001) 2. 運動習慣無し群 vs 高顕在性不安群 - p = 7.92e⁻⁶(p<0.001) 5. 運動習慣有り群 vs 標準および低顕在性不安群 - p = 0.0004(p<0.001) 6. 高顕在性不安群 vs 標準および低顕在性不安群 - p = 0.0029(p<0.01) これらの結果は、運動習慣や不安顕在度が心拍数に与える影響を示しており、特に運動習慣の有無による心拍数の変動が顕著であることが分かる。

結果の解釈

本研究の結果は、運動習慣と不安顕在度が心拍数に与える影響を示唆している。特に、運動習慣の有無による心拍数の変動は顕著であり、運動習慣を持つ群では全体的に安定した心拍数が観察された。また、不安顕在度が高い群は、標準および低不安群に比べて心拍数が高い傾向にあった。これらの結果から、運動習慣がストレス反応や心拍数の調整において重要な役割を果たしている可能性が示唆される。

ペアワイズ比較の結果、特に運動習慣無し群と運動習慣有り群の間で有意差が確認されたことは、運動が心拍数の安定化に寄与している可能性を強く示唆している。また、高顕在性不安群と他の群の間にも有意差が認められ、不安顕在度が心拍数の上昇に寄与する可能性が示された。

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