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ストレス研究memo

心拍数の変動とストレスの関係/ストレス管理研究Vol.143

2024年10月3日更新

こんにちは、けんこう総研代表研修講師のタニカワ久美子です。
今日は、「心の中に抱えている不安やストレスが心拍数の上昇に関連していることについての研究論文をご紹介したいと思います。

ストレス管理の研究論文

心血管系と自律神経系の相互作用を中心に、心理生理学的な視点から解説しています。特に中枢神経系が自律神経系を通じて心血管系にどのような影響を与えるかを探究し、ストレスや感情の調節が心血管の健康に与える影響を、専門家タニカワ久美子の目線でご紹介。ストレス管理の重要性が理解できます。

不安やストレスと心拍数との関連性を書いた研究論文

不安やストレスは、心拍数を上昇させる事を研究した論文は数多くありますが、その中でもよく引用されている研究論文が『Cardiovascular psychophysiology and autonomic nervous system: Central and autonomic interactions(心血管心理生理学と自律神経系:中枢神経系と自律神経系の相互作用)』です。
この研究論文の著者は、Berntson, G. G., Norman, G. J., Hawkley, L. C., & Cacioppo, J. T. 氏らのもので2008年に発表された論文です。
Handbook of Psychophysiologyジャーナル誌に掲載されたものです。
原著論文でご覧いただきたい方は、こちらのリンクで論文の詳細やアクセスできます。

この Berntson氏らが書いたこのの研究論文は、心血管系と自律神経系の相互作用を中心に、心理生理学的な視点から解説されています。とくに中枢神経系と自律神経系が心血管系にどのように影響を与えるかという点に焦点を当てています。さあ、それでは始めて行きましょう。

1. 自律神経系の役割

自律神経系は、心拍数や血圧、血管収縮などの心血管系の機能を調節する重要なシステムです。
自律神経には、交感神経系(SNS)と副交感神経系(PNS)があります。これら交感神経系(SNS)と副交感神経系(PNS)が、バランスを取りながら身体の恒常性を保っています。

交感神経系

交感神経系は、一般的に「闘争か逃走か(fight or flight)」の反応を促進し、心拍数や血圧を上げる役割を持ちます。

副交感神経系

副交感神経系は「休息と消化(rest and digest)」の反応を促進し、心拍数を低下させ、リラックス状態を維持します。

2. 中枢神経系と自律神経系の相互作用

この論文の中心テーマは、中枢神経系(CNS)と自律神経系がどのように連携して心血管系に影響を与えるか、という点です。

中枢神経系

中枢神経系CNSは、脳のさまざまな領域の自律神経系を制御し、心血管系の調整をしています。
とくに、

前頭前野(prefrontal cortex)や扁桃体(amygdala)などの情動処理に関与する脳の領域は、ストレスや感情的な刺激に応じて自律神経系の活動を変化させます。

3. 心血管系の心理生理学的測定

この論文では、心血管系の活動を評価するための心理生理学的な測定方法も論じられています。

心拍変動(HRV)は、自律神経のバランスを反映する指標として広く用いられています。

HRVの高い値は、主に副交感神経系の活動が優位であることを示します。つまり心拍が規則的でない状態は、適応的な反応をしています。
逆に、HRVが低い場合は、交感神経系が優位で、ストレス状態や不安定な生理状態を示すことが多いです。

4. ストレスと心血管系の相互作用

ストレスは、交感神経系の活動を高め、心血管系に大きな負荷をかけることが知られています。
この研究では、慢性的なストレスが長期的に心血管系にどのような悪影響を与えるかにも触れられており、心血管疾患のリスクを高める可能性があることが示唆されています。

5.健康経営としての応用

この論文は、心血管疾患の予防や治療に応用できる可能性があります。自律神経系の不均衡が、心血管の健康に与える影響を理解することで、ストレス管理や感情調整が心血管疾患のリスクを低減するための重要な健康経営戦略となることが示されています。また、HRVの測定を含む心理生理学的な評価は、ストレスや感情的な健康状態をモニタリングし、早期に介入するための手段として有用です。

この論文は、心血管系と自律神経系の複雑な相互作用を理解するための重要な知見が提示されています。
特にストレスや情動が自律神経系を介して心血管系に与える影響は、身体だけでなくメンタルヘルスや感情の管理が重要であることが説明されています。

この論文を通じて、心血管系と自律神経系がどのように複雑に結びついているか、特にストレスがどのように心身に影響を与えるのかを、すこしでも理解することができたでしょうか?
私たちの心拍数や血圧は、ただの数字ではなく、感情やストレスと深く関わっています。
ストレスに対する自律神経の反応を知ることで、より良いストレス管理の方法が見つかるかもしれません。

「ストレスとは、心と体の『信号』です。赤信号なら止まるのが大事。心も時々休めて、自分自身に優しくしましょう!」
皆さんも、これを機に一度立ち止まって深呼吸してみてはいかがでしょうか?心が少しだけ軽くなるかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。また次回もお楽しみに!  文責タニカワ久美子

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