ストレス研究memo
ストレス管理とウェアラブルVol.140行動変容の新たな戦略
2024年9月23日更新
こんにちは、けんこう総研のタニカワです。
昨日からスマートウオッチを使った研究論文の解説をしています。
論文のタイトルは、「Behavior change through wearables: the interplay between self-leadership and IT-based leadership(ウェアラブルを通じた行動変容~自己リーダーシップとITベースのリーダーシップの相互作用~)」です。
第1話と第2話の詳しい解説はこちら↓です。
・行動変化を導く健康管理の為のウェアラブル使用法Vol.138
・ウェアラブル利用と健康管理に役立つリーダーシップ戦略Vol.139
この研究の目的は、個人がウェアラブルデバイスをどのように利用して健康に関連する行動結果を達成するかの調査です。
調査内容
1.ユーザーがどのように認知的および行動的リーダーシップ戦略を適用して身体活動を指導し、それが行動変容にどのように関連するか。
2.50人の長期的なウェアラブルユーザーとのナラティブインタビューの分析
4つのウェアラブル利用パターン
自己リーダーシップ理論と個人の健康情報システム(IS)およびウェアラブルに関する研究として4つのウェアラブル利用パターンの発見
1) フォローと遵守の変化
2) 無視と行動変化なし
3) 組み合わせと行動変化
4) 自己リードとウェアラブルによる行動変化なし
自己リーダーシップが人間だけでなく、技術によっても展開される戦略のセットとして現れることを示しました。既存の自己リーダーシップ研究(Yong-Kwan Lim 2018)に沿って、ユーザーが自らを導くために技術を活用する「自己リード」パターンがあることが分かりました。
自己リーダーシップとは、ウェアラブルデバイスがユーザーに対してリーダーシップ戦略を提供し、その戦略を通じてユーザーの行動を導くことです。
たとえば、ウェアラブルデバイスの機能は、自己追跡技術がユーザーの行動を変えます。これは、自己リーダーシップが人間の内部の動機だけでなく、技術的なサポートを意味しています。
目標設定
・フィードバック
運動の進捗や成果に関する情報をリアルタイムで行います。
・社会的比較
他のユーザーと自分のパフォーマンスを比較することで、モチベーションを高められます。
フィードバックと社会的比較を、『ITベースのリーダーシップ戦略』と呼びます。
ウェアラブルで、最も顕著なリーダーシップ戦略は、観察、目標設定、キュー付け、報酬、社会的比較でした。
自己リーダーシップ理論であまり注目されていない行動的自己リーダーシップ戦略、すなわち社会的比較が、ユーザーと技術の両方によって適用されます。
社会的比較は、ウェアラブル文献では関連性が認められています(James et al. 2019b; Lyons et al. 2014; Mercer et al. 2016)。
個人がウェアラブルに提供されたリーダーシップ戦略に従うかどうかは、行動を変える動機に依存することを指摘することが重要です。