ストレス研究memo
ウェアラブル利用と健康管理に役立つリーダーシップ戦略Vol.139
2024年9月23日更新
こんにちは、けんこう総研代表タニカワです。昨日から「Behavior change through wearables: the interplay between self-leadership and IT-based leadership(ウェアラブルを通じた行動変容~自己リーダーシップとITベースのリーダーシップの相互作用~)」というとても長いタイトルの研究論文を読み解いています。
きのうのブログはこちらです。
今日は、この論文の『研究方法』について解説していきます。
分析方法
データ分析は、A定性的データのコーディング手法による3ステップです。(Miles & Huberman 1994)。まず、理論に基づくアプローチから始め、その後、データ駆動型の帰納的アプローチ。第3ステップでは、パターンコーディングを行い、データの中での規則性を特定し、妥当な説明を導き出しています。
コーディング手法とは
コーディング手法とは、主に質的研究において、データ(インタビューの記録、観察ノート、テキストデータなど)を分析・解釈するために、その内容にラベル(コード)を付けるプロセスを指します。このラベル付けにより、膨大なデータを整理し、共通のテーマやパターンを見つけやすくなります。コーディングは、データを深く理解し、新たな発見を導き出すために重要な手法です。
コーディング手法の主な種類
1. 記述的コーディング
データ内の情報を単純に記述する方法。
テキストの内容を明確に把握するために使います。たとえば、インタビューで述べられた具体的な行動や出来事に対して、簡単なラベル付けです。
2. 解釈的コーディング
データの意味を解釈し、より抽象的なテーマや概念を導き出す手法です。
データを分析する過程で、新たに発見した概念や仮説を見つけるために用います。
3. 帰納的コーディング
データをもとに、新しい概念や理論を導き出す手法です。
あらかじめ仮説を立てずに、データから自然に現れるテーマやパターンを見つけます。
4. 演繹的コーディング
既存の理論やフレームワークに基づいてデータを分類する方法です。
特定の理論に従って、データを分析し、すでに確立された概念に当てはまるものを探します。
コーディングの目的
1.パターンやテーマの特定
共通のテーマやパターンを見つけることで、データの中にある重要な傾向を把握できます。
2.データの整理
膨大なデータを扱う際に、コーディングによって情報を整理し、重要なポイントを浮き彫りにします。
3.新しい発見の支援
コーディングを通じて、データの中にある新しい視点や理論を見出し、研究の発展に寄与します。
コーディング手法は、質的研究の分析段階で非常に重要です。
データを整理し、研究の信頼性を高めるために用いられます。
分析過程では、結果の信頼性を確保するためにいくつかの手段を講じました。インタビュー対象者間や研究者間でのを行い、データを独立して分析していました。
結果
つぎは、ウェアラブルを用いたセルフリーダーシップ方法と、セルフリーダーシップによって行動変容の結果です。
ウェアラブル利用パターンと行動結果
データから4つのウェアラブル利用パターンが明らかになりました。
セルフリーダーシップ戦略や、ITベースのリーダーシップ戦略がどのように行動結果に関連しているかがわかります。
1. フォローする
ウェアラブルによって提供されるリーダーシップ戦略をフォローし、結果として遵守による変化が生じる。
2. 無視する
ウェアラブルによって提供されるリーダーシップ戦略を無視し、結果として行動変化がない。
3. 組み合わせる
ウェアラブルのリーダーシップ戦略とセルフリーダーシップ戦略を組み合わせ、結果として行動変化が生じる。
4. セルフリード
主にセルフリーダーシップ戦略を使用して行動を管理し、結果としてウェアラブルによる行動変化はない。
これらのパターンにおける行動変化は、ユーザーの動機に基づいて異なり、身体活動の変化に対する動機の強弱も見られました。
明日は、「Data analysis」から解説します。