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ストレス研究memo

ストレス管理とインターオセプション/内なる感覚が健康に与える影響

2024年9月17日更新

昨日の「ストレス研究memo」からインターオセプションという何やら聞きなれない用語の研究論文を解説しています。

シニアの運動参加者と講師タニカワ久美子

インターオセプションとは何か?ストレス管理や感情調整にどのように役立つのかを解説。最新の研究論文を基に、自己の身体内部の感覚を意識する方法や、それが健康維持や日常の意思決定にどのように影響するかについての解説です

昨日の「ストレス研究memo」ブログはこちらです

インターオセプションinteroceptionとストレス管理の関係

インターオセプションとは、身体内部で起こる感覚や状態を認識する能力のことです。
・心拍
・呼吸
・消化
・満腹感
・感情に関連する自律神経系の活動
・内臓機能に関する感覚の知覚

インターオセプションの感覚はほとんど無意識に処理されます。
意識的に認識される場合は「インターオセプティブ・アウェアネスinteroceptive awareness(内受容意識)」と呼ばれます。

自己の身体の状態に対する意識を高められると、私たちは感情やストレスの調整をより効果的に行うことができます。
結果としてホメオスタシス(身体の恒常性)を維持することが可能です。
また、インターオセプションの意識を高めることで、身体の状態をより正確に把握し、過食を防ぐといったストレスをより適切に処理することができるようになります。
日常生活での意思決定にも影響を与えるので、ストレスを感じた際の身体の反応に気づき、それに対処する力が向上します。

インターオセプションinteroceptionは、私たちの感情調整にも深く関わっています。

ストレス反応や感情状態に影響を与え、身体のホメオスタシス(生体の恒常性)を維持するために重要です。また、インターオセプションの意識
インターオセプションは捉えにくい感覚です。インターオセプションは、特定の感覚器官に属するわけではなく、さまざまな感覚様式に関わるからです。
インターオセプションの意識は、内的な感覚を処理し、それを意識的に認識できるようにすることを指します(Price and Hooven, 2018)。

インターオセプションのの感覚は、非常に広範囲にわたります。

人間の体すべては、何故意識できないのか?

腸や心臓の動きを意識して止めたりできたら問題です。ですから身体全部が意識に上がることはないのです。

インターオセプションの意識とその影響

インターオセプションの意識は、すべてが自動ではありません。多くのインターオセプションは無意識的なものですが、意識的に培うことができるものもあります。
例えば
・心拍や呼吸に意識を向けることで、空腹感や痛みの位置をより正確に知覚できるようになります。
・インターオセプションの意識を訓練し、身体がどのように感じているかに注意を向けることで、日常生活の意思決定に影響を与えることもあります
(Price and Hooven, 2018)。

インターオセプションと感情調整の重要性

感情調整とは、ストレスや感情に対して適切に対応し、身体や心のバランスを保つことを言います。

インターオセプション=ストレスに対する生理的な反応⇒ 感情状態を解釈 ⇒行動を調整する

(Garfinkel et al., 2015)。
インターオセプションによって心拍の上昇や緊張感に気づくことで、リラックスするための対策を講じることができます。

インターオセプションの意識が高い人は、早い段階で感情的・生理的なサインに気づき、それを正確に解釈することができます(Price and Hooven, 2018)。

ストレス反応は、インターオセプションと感情の関係が重要です。

インターオセプションは、ストレスに対する生理的活動を検出し、それを解釈する際に関与し、感情状態に影響を与え、最終的には行動を調整してホメオスタシス(体内の安定)を維持します(Garfinkel et al., 2015)。
「インターオセプションの意識が高まる」ことは、ポジティブな影響と関連します。

意識的にインターオセプションを活用する方法

インターオセプションは、知覚経験の中で「意味のある文脈化」や「身体性のトーン」といった新しい特徴をもたらすことも示唆されています。これは、インターオセプションが外的刺激と身体内部の刺激を特定の方法で結びつけ、行動を動機づけるための全体的な知覚表現を形成する助けとなるからです(Kühle, 2022)。

インターオセプションは、身体と環境の関係を再評価し、感情調整や身体認識を深める上で重要です。

インターオセプションがデータの解釈にどのように影響を与えるか

・異なる感覚モードを伴い、直接的な注意を必要としないデータの表現が、インターオセプションが感覚情報を統合する方法(周辺的な信号処理)により近い。
    ⇔
・数値やグラフィックのデータ表示のみを行う手法とは対照的。

意識的にインターオセプションを高めることで、身体内部の信号をより敏感に察知し、感情やストレスを適切に調整するスキルが養われます。
ここで比較されるのは、
・触覚フィードバックや環境的なフィードバックを用いる追跡デバイス
・長期間にわたる収集データをグラフィカルに表示するデバイス
この比較をインターオセプションに関連づけて理解するためには、感情や感覚がインターオセプションにおいて果たす役割と、一般的に私たちが感情が感覚データの解釈に果たす役割をどのように理解しているかを考察する必要があります。

過去の「感情」についての考え方

1.感情は身体的反応から生じると理解されてきました(ジェームズ・ランゲ説)
2.身体的反応と同時に起こるとされました(キャノン・バード説)
3.特定の文脈内での身体的反応の解釈として理解されました(シャクター・シンガーの二要因理論)
4.心の理論における感情的転回を代表する アスマとガブリエル(2019年)
  ・感情を生物学的、認知的、文化的側面を統合したものとして理解するアプローチを提唱。
  
インターオセプションを意識的に高めることは、ストレス管理や感情調整において非常に有効な方法です。日々の生活でストレスや感情に気づき、それに対処するためには、まず身体の内側からの信号を敏感に察知する力が重要です。特にストレスフルな状況において、自分の身体の状態を正確に把握し、適切な行動を取ることで、ストレスの影響を軽減し、健康を維持することができます。

明日は、「インターオセプション依存の習慣形成における自己追跡」から

明日は、インターオセプション(内受容感覚)を基盤とした習慣形成に関連して、自己追跡技術がどのように作用するかについて(Self-Tracking in Light of Interoception-Dependent Habit Formation)解説します。
インターオセプションがどのように身体内の感覚情報を統合し、それが自己追跡にどのように影響を与えるかについて、ご一緒に考察していきましょう。

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