ストレス研究memo
体育の落とし穴/強制的な運動の心理的ストレス最新研究vol.113
2024年7月29日更新
BenSinghによる2023年の研究は、強制的または義務的な運動が心理的ストレスを増加させる可能性があり、その結果として運動の健康効果が相殺されることがあると示唆しています。
通常、運動は精神的および身体的健康に良い影響を与えるとされています。しかし、運動がどのように行われるかで、その後の運動効果が大きく違ってってきます。
問題なのは運動の実施状況と目的
運動がどのようにして実施されるか、つまりその状況や目的が運動の効果に大きな影響を与えます。具体的には、以下の3つのポイントが重要です。
運動の動機付け
自発的に行う運動は、心理的にポジティブな効果をもたらすことが多いです。しかし、強制的に行われる場合、運動がストレス源となり得ます。たとえば、仕事の一環として強制的に運動プログラムに参加しなければならない場合、個人は運動を楽しむことができず、むしろストレスを感じる可能性があります。
個人の運動経験やフィットネスレベル
運動の内容や強度がその人のフィットネスレベルや経験に合っていない場合、身体的負担が大きくなり、心理的にもストレスを感じることがあります。適切な運動レベルの選定が重要です。
運動環境
運動が行われる場所や環境も重要です。たとえば、快適な環境での運動はストレスを軽減しやすいですが、過度に競争的な環境や不快な場所での運動はストレスを増加させる可能性があります。
これらの要因が組み合わさることで、運動が健康に与える影響は大きく異なることがあります。運動の効果を最大限に引き出すためには、個々の状況に応じた運動プログラムの設計が必要です。
例えば、個人の好みや準備を考慮せずに行われる強制的な運動は、ストレスや不安を増加させる可能性があります。特に、運動が自発的な活動ではなく強制的なものと認識される場合、この影響は顕著です。この研究は、運動の恩恵を最大限に享受するためには、個人の選択と内発的な動機付けが重要であることを強調しています。
とは言え、義務教育の体育授業や介護施設での運動タイムでは、個々の好みや準備にかかわらず、運動を行うことが求められます。
このような無理難題の状況下の全員を参加させなければならない教師や、介護スタッフのご苦労は並大抵ではないと想像に余りあります。
そのような中でも、個々のニーズにどのように対処するかが課題となります。
全員が参加する中で個々のニーズに対処するアプローチ
1.運動の多様性の提供
運動嫌いな学童や高齢者が運動に興味を持つよう、様々な運動の選択肢を提供することが重要です。例えば、軽いストレッチ、ゲーム形式の活動、ダンスなど、楽しみながら行える運動を取り入れることで、参加意欲を高めることができます。
2.運動の楽しさを強調
運動を競争や義務としてではなく、楽しい活動として捉えられるように工夫することが大切です。例えば、学童にとってはチームプレイやゲーム要素を取り入れ、高齢者に対してはリラックスした雰囲気の中で行える運動を提供するなどの方法があります。
3.段階的なアプローチ
運動が負担にならないよう、難易度や強度を段階的に調整することが必要です。学童や高齢者が自分のペースで進められるよう、無理のない範囲での目標設定を行い、達成感を感じられるようにします。
4.社会的サポートの強化
参加者同士のサポートを促進することで、運動への抵抗感を減らすことができます。学童の場合は友達同士の協力を促す活動を取り入れ、高齢者の場合は運動後の交流時間を設けるなどが効果的です。
これらのアプローチを通じて、運動を義務的なものとしてではなく、楽しみや社会的交流の機会として提供することが、運動嫌いな人々にとっても参加しやすくする方法です。
否定的な影響を軽減するために、運動プログラムは個人の好み、楽しみ、そして徐々に進行することに重点を置いて設計することで、アプローチは、運動がストレスの多い義務と見なされる可能性を減らし、長期的な参加と健康的な結果を促進するのに役立ちます。
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