ストレス研究memo
運動とストレス軽減・メンタルヘルスとの関係についてVol.109
2024年7月25日更新
おはようございます。けんこう総研ノタニカワです。今日2本目のストレス研究論文は、”Increased objectively assessed vigorous-intensity exercise is associated with reduced stress, increased mental health and good objective and subjective sleep in young adults” です。翻訳すると「客観的に評価された激しい運動の増加は、ストレスの軽減、精神健康の向上、および若年成人における良好な客観的および主観的な睡眠と関連している」と題された研究論文をご紹介します。
出典
The study by Gerber et al. (2014):Increased objectively assessed vigorous-intensity exercise is associated with reduced stress, increased mental health and good objective and subjective sleep in young adults;Physiology & Behavior, 135, 17-24.
調査対象者
調査は若年成人を対象に行われました。参加者は健康で、特定の健康問題を持たないと判断された人々でした。このグループは、精神的および身体的な健康状態が一般的に安定していると考えられている年齢層であり、運動の効果を明確に評価するために選ばれました。
研究方法
この研究では、参加者が行う運動の強度と頻度を客観的に評価するために、加速度計が使用されました。加速度計は、被験者の運動量を詳細に記録し、特に激しい運動の頻度を捉えるために用いられました。運動強度の分類は、軽度、中等度、激しい運動の3つに分けられ、それぞれの運動がストレスレベル、精神健康、睡眠の質に与える影響が分析されました。
また、参加者には自己申告形式で精神的ストレス、精神健康状態、および睡眠の質についてアンケート調査が実施されました。これにより、主観的なストレスレベルと客観的に測定された運動レベルとの関連が分析されました。
結果と考察
研究結果は、激しい運動が心理的ストレスの軽減に有意に関連していることを示しました。特に、加速度計で測定された激しい運動が増加するほど、参加者の主観的ストレスレベルが低下し、精神的健康が向上することが確認されました。これは、運動が身体的なフィットネスを向上させるだけでなく、ストレスホルモンのレベルを調整し、全体的なストレス管理に寄与することを示唆しています。
しかし、研究はまた、運動習慣がない人々が突然激しい運動を始めると、短期的には心理的ストレスが増加する可能性があることも示唆しました。これは、運動を新たな負担や義務と感じる場合や、運動に対する不安や不慣れからくるストレスが影響している可能性があります。
結論
Gerberらの研究は、適度から激しい運動が長期的には心理的ストレスを軽減し、精神健康を向上させる効果があることを示していますが、運動習慣のない人々が新たに運動を始める際には、心理的サポートや適切な運動ガイドが必要であることも指摘しています。この研究は、運動が精神的および身体的健康に与える多面的な影響を理解する上で重要な貢献をしています。