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ストレス研究memo

運動パフォーマンスにおけるストレス研究Vol.108

2024年7月25日更新

皆さん、こんにちは!けんこう総研のタニカワです。今朝のストレス研究ブログでは、大学生アスリートにおける学業と運動パフォーマンスのストレスについてお話ししたいと思います。

2020年のMarcel Lopes Dos Santosらが発表した「学術的および運動パフォーマンスにおけるストレス:出典とモニタリング戦略に関するナラティブレビュー」という研究をもとに、運動がストレスの軽減にどのように役立つのか、また逆にストレスを増やす可能性があるのかについて探っていきます。この興味深い研究から、日常生活や職場でのストレスマネジメントにも役立つ知見を皆さんと共有できればと思っています。ぜひ最後までお読みくださいね!

タニカワ講師とその生徒達が運動との運動授業

運動がストレス管理に有効であるという一般的な理解に対して、個別のケースでは逆効果がある可能性を示唆し、全ての人々に対して一律のアプローチが適切ではないことを強調しています。このような視点は、ストレス管理の個別化と、各個人の特定のニーズや状況に応じた対応の必要性を理解する上で重要です

ナラティブレビューとは

まず、論文の解説をする前に、この論文のタイトルに書かれている「ナラティブレビュー(総説)」についてご説明します。「ナラティブレビュー」とは、特定のテーマに関する既存の研究や文献をストーリー形式でまとめるレビューの一種です。この形式では、テーマに関する重要な研究や理論の流れを説明し、研究の発展や主要な発見、課題、今後の方向性を考察します。ナラティブレビューは、特定の質問に対する明確な答えを求めるのではなく、テーマ全体の理解を深めるための包括的な視点を与えるものです。

学術論文は、異なる目的と構成を持つ3タイプの形式があります

総説(レビュー)

目的: ある特定のテーマに関する既存の研究を総合的にまとめ、評価し、現在の知識の状況を明らかにすることを目的とします。新しい実験やデータの発表は含まれませんが、テーマに関する研究の全体像を示すことで、今後の研究の方向性を提案します。
内容: 文献のレビュー、重要な研究のまとめ、研究のトレンドやギャップの特定など。

原著(オリジナルリサーチ)

目的: 新しい実験や調査の結果を報告し、独自の研究成果を発表することを目的とします。これは学術的な新規性を持ち、科学的な知見の拡大を目指しています。
内容: 問題提起、仮説設定、方法論、実験データ、結果の解釈と考察、結論など。新しいデータや分析結果を示します。

実践報告

目的: 特定の実践や経験から得られた知見を共有することを目的とします。これは、特定の技術や手法の実用的な応用例や、その効果について報告するものです。
内容: 実践の背景と目的、具体的な実施内容、結果とその評価、実践に基づく提案や改善点など。

これらの区別は、論文の内容と目的に応じて選ばれる形式であり、研究者や実務者が情報を整理し、発信するための重要な手段です。

調査対象者

本レビューの主な対象は、大学レベルでスポーツに参加している学生アスリートです。彼らは学業とスポーツという二重の責任を負っており、そのため特有のストレス要因に直面しています。例えば、競技におけるパフォーマンスプレッシャー、トレーニングの負荷、試合の日程調整、学業の成績維持などが挙げられます。これらの要因は、心理的および身体的な健康に多大な影響を及ぼす可能性があり、その結果としてバーンアウトや怪我のリスクが増加することが指摘されています​。

考察

この論文では、学生アスリートが抱えるストレスの複雑性とその影響について深く掘り下げています。特に、運動を嫌う個人が強制的に運動を行う場合、心理的ストレスが増大する可能性があると考察されています。このような強制的な運動は、アスリートのモチベーションや満足度を低下させるだけでなく、逆効果としてストレスレベルを増加させることがあるとしています

ストレスのモニタリング方法

客観的な指標(例:心拍数、ホルモンレベル)と主観的な自己報告(例:ストレスの自己評価)の両方を組み合わせたアプローチが推奨されています。これにより、個々のアスリートのストレスレベルをより正確に把握し、適切な介入を行うことが可能になります。

結論

大学生アスリートにおけるストレスは、学業と運動という二重の負担から生じるものであり、その影響は広範かつ深刻です。特に、運動に対する嫌悪感が強い個人に対しては、強制的な運動が逆にストレスを増加させる可能性があるため、個別のニーズに応じたストレス管理が重要です。この研究を通じて、個々のニーズに合わせたストレス管理の重要性が再確認されました。

さて、いかがだったでしょうか?この論文が示すように、運動がストレス軽減に必ずしもつながるわけではないことを理解することが重要です。特に、運動が嫌いな方に無理強いをするのは逆効果となることもあります。この点を踏まえて、私たちもストレス管理に取り組んでいきましょう。

けんこう総研では、私タニカワが東京大学大学院でストレス研究を行い、このような最新の知見を活かした研修プログラムを立案・制作しています。社員のメンタルヘルス向上のために、科学的根拠に基づいた効果的なアプローチを提供しています。興味のある方はぜひお問い合わせください。最後までお読みいただきありがとうございました。

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