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ストレス研究memo

急性運動が影響を与えるストレス反応の研究Vol.106

2024年7月24日更新

こんにちは、けんこう総研代表のタニカワ久美子です。けんこう総研は、社員のストレスケアと健康経営のエキスパートとして、皆様に役立つ情報をお届けすることをミッションとしています。健康経営における重要なテーマの一つに「運動」がありますが、今回はその運動がストレス反応に与える影響について、最新の研究を基にご紹介したいと思います。

メンタルヘルスの社内のストレス管理は必携

日々の生活の中で、ストレスを感じることは誰にでもあることです。そして、多くの人がそのストレスを軽減する方法として「運動」を選びます。しかし、運動が必ずしもすべての人にとってリラックス効果をもたらすわけではないということをご存知でしょうか?

急性運動がストレス反応に与える影響とは?

日々の生活の中で、ストレスを感じることは誰にでもあることです。そして、多くの人がそのストレスを軽減する方法として「運動」と仰います。
しかし、運動が必ずしもすべての人にとってリラックス効果をもたらすわけではないということをご存知でしょうか?特に運動不足の方や運動に対して苦手意識を持つ方にとっては、運動自体が新たなストレス源となることがあります。

論文を読む前に

本日は、「Effects of Acute Exercise on Stress Reactivity: A Systematic Review」というシステマティックレビューの論文をご紹介します。この研究は、急性運動が心理的および生理的なストレス反応にどのように影響を与えるかについて、多くの研究を総合的に分析したものです。このレビューを通じて、運動が持つストレス軽減効果と、その一方で運動がストレッサーとして作用する可能性について考察していきます。

この論文の詳細な解説に入る前に、皆様が日常生活や職場でのストレス管理に役立つ情報を提供できるよう、この記事を通じて運動の効果についての理解を深めていただければ幸いです。
運動を取り入れる際の参考にしていただけるよう、具体的なアドバイスや方法についても触れていきますので、どうぞ最後までお読みください。

論文概要

「Effects of Acute Exercise on Stress Reactivity: A Systematic Review」は、急性運動(短時間で行う高強度運動)がストレス反応に与える影響についてのシステマティックレビューです。
システィマテックレビューとは、特定の研究質問に対して、既存の研究文献を体系的かつ包括的に収集、評価、分析する方法です。

調査対象者

このシステマティックレビューでは、以下のような多様な調査対象者が含まれています。
1. 健常成人: 健康な成人男女が主な対象となっています。これには、運動習慣がある人もない人も含まれます。
2. ストレス関連疾患を持つ人々: うつ病や不安障害など、心理的ストレスに関連する疾患を持つ人々も含まれています。
3. 高リスクグループ: 心血管疾患リスクの高い人々や、職業的ストレスが高い人々(例:消防士、軍人など)も対象に含まれています。

研究方法

このシステマティックレビューは、急性運動がストレス反応に与える影響を調査した既存の研究を系統的に検索、評価、分析する方法を採用しています。具体的な研究方法は以下の通りです。
1. 文献検索: 複数のデータベース(PubMed、PsycINFO、Web of Scienceなど)を使用して、急性運動とストレス反応に関する研究を検索しました。検索には特定のキーワードと検索式を用い、包括的に文献を収集しました。
2. 選定基準: 文献の選定には明確な基準を設けました。対象とする研究は、急性運動を介入として使用し、心理的および生理的なストレス反応を測定したものに限定されました。
3. データ抽出: 選定された文献から、研究の特徴(参加者の属性、運動の種類と強度、ストレス測定方法など)と結果を抽出しました。データ抽出は複数の研究者によって独立に行われ、信頼性を確保しました。
4. 質の評価: 各研究の質を評価し、バイアスのリスクを判断しました。質の評価には、コクランのリスクオブバイアスツールなどの標準的な評価ツールを使用しました。
5. データの統合と分析: 抽出したデータを統合し、定量的および定性的な分析を行いました。メタアナリシスが可能な場合は実施し、総合的な効果を評価しました。

結果

1. 心理的ストレス反応: 多くの研究で、急性運動が心理的ストレス反応を軽減する効果が示されました。運動後に自己報告によるストレスレベルの低下や、ポジティブな感情の増加が観察されました。
2. 生理的ストレス反応: 生理的指標(例:コルチゾールレベル、心拍変動、血圧など)も急性運動後に変化が見られました。多くの研究で、急性運動がストレスホルモンの減少や心拍数の回復を促進することが確認されました。
3. 運動の強度と持続時間: 運動の強度と持続時間がストレス反応に与える影響は一貫していませんでした。中強度から高強度の運動が最も効果的であるとする研究もあれば、低強度の運動でも効果があるとする研究もありました。
4. 個々の差異: 運動によるストレス軽減効果は、個々の属性(例:性別、年齢、運動習慣、健康状態)によって異なることが示されました。例えば、運動習慣のある人は、初めて運動する人に比べてストレス軽減効果が高い傾向がありました。

考察

このシステマティックレビューの考察では、以下の点が強調されています。
1. 運動のストレス軽減効果: 急性運動が心理的および生理的なストレス反応を軽減する効果が多くの研究で確認されています。これは、運動がストレスホルモンの調節やポジティブな感情の促進に寄与するためと考えられます。
2. 運動のストレッサーとしての側面: 一方で、運動自体がストレッサーとして作用する可能性も示唆されています。特に運動習慣のない人や、高強度の運動に慣れていない人にとって、急性運動は一時的にストレス反応を引き起こすことがあります。
3. 個別アプローチの重要性: 運動のストレス軽減効果を最大化するためには、個々の属性に応じた運動プログラムの設計が重要です。例えば、運動習慣のない人には低強度から始め、徐々に強度を上げていくアプローチが推奨されます。
4. 限界と今後の研究: このレビューは既存の研究に基づいているため、異なる研究デザインや測定方法の違いが結果に影響を与える可能性があります。今後の研究では、標準化された方法でのさらなる調査が必要です。また、長期的な影響や、異なる人口集団に対する運動の効果についてもさらなる研究が求められます。

結論

「Effects of Acute Exercise on Stress Reactivity: A Systematic Review」は、急性運動がストレス反応に与える多面的な影響を包括的に分析しています。この研究は、運動がストレス軽減のための有効な手段である一方、適切なアプローチが必要であることを示しています。特に、個々の属性に応じた運動プログラムの設計が、運動によるストレス軽減効果を最大化するための鍵となることが強調されています。このレビューは、健康管理やストレスマネジメントにおける運動の重要性を再確認する一助となるでしょう。

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