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ストレス研究memo

ストレスエクササイズの科学的研究Vol.105

2024年7月24日更新

こんにちは、けんこう総研のタニカワ久美子です。今回は、皆さんにとって馴染み深い「運動」について、少し違った視点から考えてみたいと思います。多くの人々にとって、運動は健康維持やストレス解消のための重要な手段です。しかし、運動が必ずしも全ての人にとってプラスになるわけではありません。特に運動嫌いな人や運動不足の人々にとっては、運動そのものが心理的ストレッサーとなり得るのです。

老男女運動

運動を始める際には、自分自身の体調やフィットネスレベルを考慮することが不可欠です

運動がストレスになることもある?—科学的視点からの検証

「The Stress of Exercise」という論文では、運動がどのようにしてストレス反応を引き起こすかについて詳しく解説されています。この研究は、運動が身体に与える影響を多角的に分析し、その結果を示しています。運動の強度や個々の運動習慣、さらには健康状態が、運動に対するストレス反応にどのように影響を及ぼすかが明らかになっています。

この論文の内容を通じて、私たちは運動の捉え方を再考する必要があります。運動が健康に良いことは間違いありませんが、その実施方法や個々の状況に応じたアプローチが重要です。
これから、論文の詳細な解説と、どのようにして適切な運動習慣を身につけるかについての具体的なアドバイスをしていきます。

運動がストレッサーとなる理由

「The Stress of Exercise」は、運動が人間の身体に与えるストレスについて詳しく分析した論文です。この研究では、運動がどのようにストレッサーとして機能し、それが生理的および心理的にどのような影響を及ぼすかについて考察されています。以下に、この論文の調査対象者、研究方法、および考察を詳しく解説します。

調査対象者

論文の調査対象者は、運動の経験や身体的適性が異なるさまざまな人々を含む多様な集団です。具体的には、以下のようなグループが含まれています。
1. 運動選手: 高強度のトレーニングに慣れたアスリート
2. 一般成人: 日常的に軽度から中程度の運動を行う成人
3. 運動不足の人々: 定期的な運動習慣がない人々
4. 特定の健康状態を持つ人: 心血管疾患、呼吸器疾患、筋骨格疾患などの持病を持つ人々

研究方法

論文は4つの方法を用いて運動のストレス効果を研究しています。
1. 運動試験: さまざまな強度とタイプの運動(有酸素運動、抵抗運動、等尺性運動など)を実施し、その際の生理的反応(心拍数、血圧、呼吸率など)を測定します。
2. 心理的評価: 運動前後の心理的ストレスレベルをアンケートやインタビューを通じて評価します。これには、ストレス反応尺度や自己報告によるストレス評価が含まれます。
3. 生理的指標の測定: コルチゾールレベルや血中乳酸濃度など、ストレスの生理的指標を測定します。これにより、運動が体内でどのようにストレス反応を引き起こすかを詳細に分析します。
4. 長期的影響の観察: 定期的な運動が身体と精神に与える長期的な影響を追跡調査します。これには、トレーニングプログラムを数週間から数ヶ月間にわたって実施し、その結果を評価するものがあります。

結果と考察

1. 運動の即時的なストレス反応

★高強度運動: 高強度の運動は、心拍数や血圧の急激な上昇を引き起こし、コルチゾールレベルの上昇などのストレス反応を誘発します。これにより、一時的に心理的なストレスが増大することが確認されました。
★低強度運動: 低強度の運動では、心理的および生理的なストレス反応は比較的軽微であり、多くの場合、リラックス効果が得られます。

2. 運動習慣とストレスの関係

★運動選手: 高頻度で高強度の運動を行っている運動選手は、運動によるストレスに対する適応能力が高く、ストレス反応が抑制される傾向が見られました。
★一般成人および運動不足の人々: 一般的に、定期的な運動を行っていない人々は、運動によるストレス反応が強く、運動そのものが心理的ストレッサーとして作用することが多いです。

3. 健康状態と運動ストレス

★心血管疾患患者: 運動が心血管系に与える負荷は高く、適切な運動強度の設定が重要です。不適切な運動は、かえってストレス反応を増強し、健康リスクを高める可能性があります
★その他の疾患患者: 呼吸器疾患や筋骨格疾患を持つ人々にとっても、運動は慎重に行う必要があり、適切な監督の下で行うことが推奨されます。

結論と提案

論文は、運動が身体に与えるストレス効果を詳細に分析し、以下の結論を導き出しています。
1.適切な運動強度と頻度の設定は、運動によるストレスを最小限に抑え、健康効果を最大限に引き出すために重要です。
2. 運動に対する心理的な抵抗感を持つ人々や運動不足の人々に対しては、段階的に運動習慣を取り入れるプログラムが有効です。これにより、運動がストレッサーとしてではなく、ストレス軽減の手段として機能する可能性が高まります。
3.特定の健康状態を持つ人々に対しては、医療専門家の指導の下で個別に適応された運動プログラムを実施することが推奨されます。

適切な運動アプローチの重要性

運動を始める際には、自分自身の体調やフィットネスレベルを考慮することが不可欠です。無理をして高強度の運動を行うのではなく、徐々に負荷を増やしていくことが、ストレスを軽減し、長続きする運動習慣を形成するための鍵となります。

このブログでは、運動が引き起こす可能性のあるストレス反応についての科学的な解説をお届けするとともに、健康的でバランスの取れた運動習慣を身につけるための具体的な方法をご紹介します。皆さんが自身の健康を管理し、より良い生活を送るための一助となれば幸いです。

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