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ストレス研究memo

バーンアウト・燃え尽き症候群の理解と対策/ストレス研究最新知見

2024年7月6日更新

バーンアウト(燃え尽き症候群)は、職場環境や仕事の過負荷によって引き起こされる深刻な心理的ストレス状態のことです。
とくに、現代社会ではて、労働環境の変化や働き方の多様化に伴い、バーンアウトは重要な健康問題として認識されています。

メンタルヘルス文字

バーンアウトの予防と対策について科学的根拠に基づいた情報で正しい理解を深めましょう。

けんこう総研のブログでもこれまで、バーンアウトについては多くの事例をご紹介してきました。
以下はほんの一部です。
職場におけるバーンアウトのリスクとストレス要因2024年5月7日
まじめで努力家が陥りやすいバーンアウト/ストレス研究メモvol.212022年3月8日
けんこう総研タニカワのブラック職場と言われてる感情労働職の現状2022年8月30日

今日は、学術論文に基づいたバーンアウトの定義と、原因、影響、そして予防・対策について信頼性の高い知見を詳しく解説します。

バーンアウトの定義

バーンアウトは、フロイデンバーガー(Freudenberger, 1974)によって初めて提唱された概念です。
仕事による極度のストレスや疲労により生じる身体的・精神的・感情的な消耗状態を指します。

一般的には、3つの主な特徴があります。(Maslach et al., 2001)

バーンアウトの特徴

1. 情緒的消耗:エネルギーの枯渇感や極度の疲労感。
2. 脱個人化(シニシズム):仕事や同僚に対する冷淡さや否定的な態度。
3. 個人的達成感の減少:自分の仕事に対する効果感や達成感の低下。

バーンアウトの原因

バーンアウトの原因は、「個人からくる原因」と「職場からくる原因」に分けられます。

職場環境

1.過剰な業務量:持続的な過労や過重労働がバーンアウトの主要な原因とされる(Leiter & Maslach, 2003)。
2.職場のサポート不足:上司や同僚からの支援が不足している場合、孤立感が増し、バーンアウトリスクが高まる(Halbesleben & Buckley, 2004)。
3.役割の不明確さ:職務内容や期待される役割が明確でない場合、ストレスが増大する(Schaufeli et al., 2009)。

個人的要因

4.完璧主義:高い自己要求や完璧を求める傾向が強い人は、バーンアウトに陥りやすい(Flett & Hewitt, 2002)。
5.対処スタイル:問題に対する非建設的な対処方法(例:回避行動や否認)がバーンアウトを引き起こすことがある(Lazarus & Folkman, 1984)。

バーンアウトの影響

また、バーンアウトは個人だけでなく、組織全体にも深刻な影響を及ぼします。

個々への影響

1.身体的健康問題:慢性的な疲労、睡眠障害、免疫力低下など(Melamed et al., 2006)。
2.精神的健康問題:うつ病、不安障害、自己評価の低下など(Ahola et al., 2006)。
3.社会的影響:人間関係の悪化や社会的孤立(Maslach & Leiter, 2016)。

組織への影響

4.生産性の低下:バーンアウトに陥った従業員は、集中力や仕事効率が低下しやすい(Demerouti et al., 2001)。
5.離職率の増加:バーンアウトは高い離職率と関連しており、組織にとって大きな損失となる(Schaufeli & Bakker, 2004)。
6.医療費の増加:バーンアウトに伴う健康問題により、医療費や保険料が増加する(Shirom et al., 2005)。

予防・対策

バーンアウトを予防し、対策を講じるためには、個人および組織の両面での取り組みが必要です。

個人的対策

1.ストレス管理:リラクゼーション法やマインドフルネスなどのストレス管理技法が有効(Grossman et al., 2004)。
2.時間管理:効果的な時間管理と休息の確保が重要である(Claessens et al., 2007)。
3.サポートネットワークの構築:家族や友人、同僚との良好な関係がストレスを軽減する(Halbesleben, 2006)。

組織的対策

4.業務の見直し:適切な業務量の配分や役割の明確化が必要(Maslach & Leiter, 2016)。
5.サポート体制の強化:上司や同僚からの支援体制を整え、相談しやすい環境を作る(Bakker et al., 2005)。
6.トレーニングと教育:ストレス管理やバーンアウト予防に関する教育プログラムの導入(Sauter et al., 1999)。

バーンアウトは現代の労働環境において重要な健康問題であり、個人と組織の双方に大きな影響を与える。その予防と対策には、職場環境の改善と個人のストレス管理が不可欠です。学術研究に基づくエビデンスを活用し、効果的な対策を講じることが求められます。

参考文献

1. Freudenberger, H. J. (1974). Staff Burn-Out. Journal of Social Issues, 30(1), 159-165.
2. Maslach, C., Schaufeli, W. B., & Leiter, M. P. (2001). Job Burnout. Annual Review of Psychology, 52(1), 397-422.
3. Leiter, M. P., & Maslach, C. (2003). Areas of Worklife: A Structured Approach to Organizational Predictors of Job Burnout. Research in Occupational Stress and Well-being, 3, 91-134.
4. Halbesleben, J. R. B., & Buckley, M. R. (2004). Burnout in Organizational Life. Journal of Management, 30(6), 859-879.
5. Schaufeli, W. B., Leiter, M. P., & Maslach, C. (2009). Burnout: 35 Years of Research and Practice. Career Development International, 14(3), 204-220.
6. Flett, G. L., & Hewitt, P. L. (2002). Perfectionism: Theory, Research, and Treatment. American Psychological Association.
7. Lazarus, R. S., & Folkman, S. (1984). Stress, Appraisal, and Coping. Springer Publishing Company.
8. Melamed, S., Shirom, A., Toker, S., Berliner, S., & Shapira, I. (2006). Burnout and Risk of Cardiovascular Disease: Evidence, Possible Causal Paths, and Promising Research Directions. Psychological Bulletin, 132(3), 327-353.
9. Ahola, K., Honkonen, T., Isometsä, E., Kalimo, R., Nykyri, E., Koskinen, S., & Lönnqvist, J. (2006). Burnout in the General Population: Results from the Finnish Health 2000 Study. Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology, 41(1), 11-17.
10. Demerouti, E., Bakker, A. B., Nachreiner, F., & Schaufeli, W. B. (2001). The Job Demands-Resources Model of Burnout. Journal of Applied Psychology, 86(3), 499-512.
11. Schaufeli, W. B., & Bakker, A. B. (2004). Job Demands, Job Resources, and Their Relationship with Burnout and Engagement: A Multi-Sample Study. Journal of Organizational Behavior, 25(3), 293-315.
12. Shirom, A., Melamed, S., Toker, S., Berliner, S., & Shapira, I. (2005). Burnout and Health Review: Current Knowledge and Future Research Directions. International Review of Industrial and Organizational Psychology, 20, 269-309.
13. Grossman, P., Niemann, L., Schmidt, S., & Walach, H. (2004). Mindfulness-based Stress Reduction and Health Benefits. Journal of Psychosomatic Research, 57(1), 35-43.
14. Claessens, B. J. C., van Eerde, W., Rutte, C. G., & Roe, R. A. (2007). A Review of the Time Management Literature. Personnel Review, 36(2), 255-276.
15. Halbesleben, J. R. B. (2006). Sources of Social Support and Burnout: A Meta-Analytic Test of the Conservation of Resources Model. Journal of Applied Psychology, 91(5), 1134-1145.
16. Bakker, A. B., Demerouti, E., & Verbeke, W. (2005). Using the Job Demands-Resources Model to Predict Burnout and Performance. Human Resource Management, 43(1), 83-104.
17. Sauter, S. L., Murphy, L. R., & Hurrell Jr, J. J. (1999). Prevention of Work-Related Psychological Disorders: A National Strategy Proposed by the National Institute for Occupational Safety and Health (NIOSH). American Psychologist, 44(2), 114-119.

バーンアウトは、現代の労働環境において重要な健康問題です。
そして個人の問題としてとどまらず、働く組織にも大きな影響を与えることがお分かりいただけたでしょうか。

バーンアウトの予防と対策には、職場環境の改善と個人のストレス管理が不可欠で、学術研究に基づくエビデンスを活用し、効果的な対策を講じることが求められます。

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