ストレス研究memo
ラザルスのストレス対処の研究Vol.83
2024年5月31日更新
こんにちは、けんこう総研のタニカワです。
5月も今日で終わりですね。数日前に、ストレスの元祖、セリエとラザルスのお話をしたのを覚えていらっしゃいますか?
「セリエVsラザルスのストレス研究No.77」のお話はこちら
「ストレス研究ラザルスの場合No.76」のお話はこちら
今日は、リチャード・S・ラザルスのストレスを受けた時の「情動焦点型対処じょうどうしょうてんがた・たいしょ(Emotion-focused Coping)」についてお話します。
情動焦点型対処とは
情動焦点型対処じょうどうしょうてんがた・たいしょ、舌をかみ切りそうな難しい用語ですね。要は、ストレスを対処する方法です。ストレスを引き起こす状況そのものを変えるのではなくて、今の状況に対する個人的な感情を冷静に考えて和らげるストレスマネジメントのことです。情動焦点型対処は、ストレスとなっている原因を正したり、改善する方法ではありません。
情動焦点型ストレス対処方法で、ストレスをコントロールする方法
1. 感情の発散
泣いたり、叫んだりすることで感情を発散し、ストレスを軽減します。これにより、内面的なストレスが外に放出され、心の平穏を取り戻すことができます。
2. ポジティブな再評価
ストレスフルな状況を新たな視点から捉え直すことで、その状況に対するネガティブな感情を減少させます。例えば、困難な経験を成長の機会と見なすことが含まれます。
3. 回避行動
一時的にストレス源から離れることで、感情的な負担を軽減します。これには、趣味に没頭したり、リラックスする活動を行ったりすることが含まれます。
4. ソーシャルサポートの活用
友人や家族、カウンセラーなどからの感情的な支援を受けることで、安心感を得てストレスを軽減します。他者との対話や共感が重要な役割を果たします。
5. リラクゼーション技法
瞑想、深呼吸、ヨガなどのリラクゼーション技法を用いて、身体的なリラクゼーションを図り、それに伴う感情の安定化を目指します。
情動焦点型対処の効果
情動焦点型対処は、即時的な感情の軽減や心理的安定をもたらすことが多くあります。
制御不能なストレス状況での効果
状況そのものを変えることが難しい場合、情動焦点型対処は重要な役割を果たします。例えば、病気の診断や自然災害など、個人の力では対処が困難な場合です。
時的なストレスでの効果
短期間の強いストレスに対して、感情的な負担を軽減し、冷静さを取り戻すために有用です。
情動焦点型ストレス対処方法課題
一方で、情動焦点型対処には限界もあります。
1.問題の根本的な解決にはならないこと
感情を和らげるだけでは、問題自体を解決することにはならないため、長期的な解決策としては不十分な場合があります。
2.回避行動のリスク
過度にストレス源を回避することは、問題解決を遅らせ、長期的にはストレスを悪化させる可能性があります。
情動焦点型によるストレス対処方法は、個人がストレスに対処するための重要な方法の一つです。特に、すぐにでもな感情の軽減が必要な場合や、状況を変えることが難しい場合に有効です。
ただし、長期的なストレス管理や問題解決には、他の対処方法と併用することが望ましいです。
このようにラザルスの理論は、ストレスと対処の多面的な理解するとともに、個人が状況に応じた最適な対処方法を選択してレジリエンスを高めるのにとても有効です。明日は、ラザルスのストレス対処のもう一つの方法をご紹介します。