ストレス研究memo
セリエVsラザルスのストレス研究No.77
2024年5月21日更新
リチャード・S・ラザルスのストレス理論は、「ストレス、評価、対処(Stress, Appraisal, and Coping)」として知られています。今回は、ラザルスのストレスの経験を理解するために、3つの主要な要素に焦点を当てたお話しからしていきます。
ラザルスの唱えるストレスの要素は、認知的評価と、対処、ストレス反応の3つです。
ストレスの認知的評価(Cognitive Appraisal)
認知的評価は、個人が特定の出来事や状況をどのように知覚し、評価するかに関するプロセスです。ラザルスの理論では、ストレスが引き起こされるかどうかは、この認知的評価に大きく依存します。認知的評価には以下の2つの主要な部分があります。
一次評価(Primary Appraisal)
一次評価は、 個人が今ある状況を「ストレスフル」、「有害」、「脅威」、「挑戦」の内、どう評価するかです。例えば、試験を受ける学生がそれを挑戦と見るか、脅威と見るかによってストレスの感じ方が異なります。
二次評価(Secondary Appraisal)
二次評価は、個人がストレッサーに対処するための資源や能力を評価する段階です。個人は、利用可能な対処手段やサポートシステムを考慮して、ストレッサーに対処できるかどうかを判断します。
ストレス対処(Coping)
ストレス対処は、個人がストレッサーに対処するための認知的および行動的努力を指します。ラザルスの理論では、対処は2つの主要な戦略に分類されます。
問題焦点型対処(Problem-Focused Coping)
ストレッサーそのものを解決し、変えることを目指す対処方法です。例えば、ストレスの原因である仕事の問題を解決するために具体的な行動を起こすことです。
情動焦点型対処(Emotion-Focused Coping)
ストレッサーによって引き起こされる否定的な感情を管理することを目指す対処方法です。例えば、リラクゼーション技術やサポートを求めることです。
ストレス反応(Stress Response)
ラザルスの理論では、ストレス反応は、認知的評価と対処の結果として生じるのだと解釈しています。なぜならストレス反応には、心理的および生理的な反応が含まれるからです。適切な対処が行われると、ストレス反応も軽減します。
理論の重要性
ラザルスの理論は、ストレスが単に外部の出来事によって引き起こされるのではなく、個人の評価と対処によって大きく影響されることを示しています。この視点は、ストレス管理や心理的健康に関する介入を設計する際に非常に重要です。
参考文献
Lazarus, R. S., & Folkman, S. (1984). Stress, Appraisal, and Coping. Springer Publishing Company.
ラザルス, フォークマン(1984年)『ストレス、評価、対処』. スプリンガー出版
Lazarus, R. S. (1966). Psychological Stress and the Coping Process. McGraw-Hill.
ラザルス,(1966)『心理的ストレスと対処過程』. マグロウヒル出版