ストレス研究memo
快ストレス(Eustress)と不快ストレス(Distress)を識別する新尺度MEDSの紹介
2024年4月3日更新
快ストレス(Eustress)と不快ストレス(Distress)を正確に評価することは、ストレス管理と個人のウェルビーイング向上において重要です。最近、MEDS(感情的、身体的、行動的指標を用いたEustressとDistressの尺度)という新しい尺度が開発されました。
私たちは日々、いろいろなストレスに直面します。これらのストレスは、私たちの気持ちや体、行動に影響を与えることがあります。研究者たちは、「良いストレス」と「悪いストレス」があることを発見しました。「良いストレス」は、私たちを元気にして、より良い成果を出すために動機づけることがあります。これを「高揚感」と呼びます。「悪いストレス」は、私たちを疲れさせたり、不快にさせたりします。これを「苦痛」と呼びます。
研究者たちは、これら「良いストレス」と「悪いストレス」をちゃんと測る方法を作りました。それがMEDSという測定法です。MEDSを使うと、私たちがどれくらい「高揚感」を感じているか、または「苦痛」を感じているかを知ることができます。これは、学校や職場でのストレスを理解し、対処するのに役立ちます。
研究で、MEDSは学生や職場で働く人たちに使われました。結果から、MEDSが「高揚感」と「苦痛」を正確に測れることがわかりました。例えば、良い成績を取る学生は「高揚感」が高いことが多く、逆にストレスをたくさん感じている人は「苦痛」が高いことがわかりました。
この研究は、「良いストレス」と「悪いストレス」を理解し、健康やパフォーマンスを改善するための大切な一歩です。
尺度の概要とメリット
MEDSは、ストレスの感情的、身体的、行動的指標を詳細に測定する18項目から構成されています。これにより、経験しているストレスがポジティブな影響をもたらすEustressなのか、それともネガティブな影響をもたらすDistressなのかを識別できます。この尺度を利用することで、ストレスが個人のパフォーマンスやウェルビーイングに与える影響をより深く理解することが可能になります。
研究結果とその意義
MEDSは、3つの異なる研究を通じてその信頼性と妥当性が確認されました。研究1では、異なるシナリオにおけるストレスの評価能力を、研究2では学生サンプルを用いた構造的及び基準関連妥当性を検証しました。研究3では、職場での尺度の適用を通じて、EustressとDistressが職場と家庭のバランスに与える影響を探りました。これらの研究は、EustressとDistressを区別することの重要性を示し、教育や職場環境での応用に適していることを示しています。
まとめ
私たちは日々、様々なストレスに直面しています。これらのストレスが私たちの感情、身体、行動に与える影響は大きく、MEDS尺度は「良いストレス」(Eustress)と「悪いストレス」(Distress)を区別する助けとなります。これにより、学校や職場でのストレス管理と介入設計が向上し、最終的には個人のウェルビーイングとパフォーマンスの向上に寄与します。
文献: Helen Pluut ,Petru L. Curșeu , Oana C. Fodor.2022.Development and Validation of a Short Measure of Emotional, Physical, and Behavioral Markers of Eustress and Distress (MEDS);Healthcare, 10(2), 339