ストレス研究memo
唾液による心理状態とストレスレベルの測定
2023年6月15日更新
こんにちは、けんこう総研代表講師ノタニカワです。今日はきのうの先行研究のいよいよ結果について解説していきます。
唾液による心理状態とストレスレベルの測定
3つの違う種類のテストを唾液サンプルで行いました。これらは「DHEA」、「SigA1」、「クロモグラニンA」という唾液中の物質を測定するものです。「DHEA」、「SigA1」、「クロモグラニンA」のテストは、特別な道具と化学物質を使って、各物質がどれくらい含まれているかを調べることができます。これらの物質は私たちの心理状態やストレスレベルについて情報を知ることができるのです。
そして、運動が「DHEA」、「SigA1」、「クロモグラニンA」の物質にどう影響するかを見るために、運動前と運動後でこれらのテストを行いました。これにより、運動が私たちの心理状態やストレスレベルにどう影響を与えるかを調べることができました。
質問票による特性不安と状態不安の測定
それと同時に、POMSとSTAIという心理的な質問表を使って、運動前後の心理状態も調査しました。POMSは「疲労」「怒り」「落ち込み」「緊張」「活動」「好調」の6つの心理状態を評価するためのものです。一方、STAIは「特性不安」と「状態不安」を測定します。特性不安は、一般的に人がどれくらい不安に感じやすいかを示し、状態不安はその時点でどれくらい不安を感じているかを示します。
運動前後の心理状態の変化
運動前と運動後のテストの結果から、運動がこれらの唾液中の物質や心理状態にどのように影響を与えるかを見ることができました。ただし、運動前後の心理状態の変化には一定の傾向は見られませんでした。
それぞれの被験者の心理状態は、特性不安と状態不安によって分けられ、不安の変化には個々の違いが見られました。不安が少ない人、運動によって不安が減った人、運動によって不安が増した人、これらの異なるグループに分けることができる可能性がありました。
このような研究を行う理由は何でしょうか?それは、私たちの体や心が運動にどう反応するかを理解することで、運動がどのように健康に影響を及ぼすかをより深く理解するためです。たとえば、運動がストレスを減らす効果があるとされていますが、それが本当にそうなのか、どのように作用するのかを科学的に調べることは非常に重要です。
さらに、私たちは運動によって心理的な変化が起こることを確認しましたが、その変化のパターンは人によって異なることも分かりました。これは、運動の効果は個々の体質や心理状態によって異なるということを示しています。
例えば、ある人は運動によって不安が減少し、別の人は逆に不安が増すかもしれません。その理由を詳しく調査することで、どのような運動がどのような人にとって最も効果的なのかを見つけ出すことができるでしょう。けれども、この研究だけでは全ての答えを得ることはできません。これは一部の人々に対して行われた研究であり、全ての人が同じように反応するわけではないからです。これは、さらなる研究が必要であることを示しています。
この先行研究では、5人の参加者が運動をした前後で、体の反応を調べていました。具体的には、唾液中に含まれる物質、α-アミラーゼ、コルチゾール、DHEA、SIgA、クロモグラニンAの変化を見ました。これらの物質は、体がストレスを感じているかどうか、またその程度を示す目安になります。
しかし、結果を見ると、運動前と運動後のこれらの物質の量に大きな違いは見られませんでした。つまり、これらの物質だけで見ると、運動が体に大きな影響を与えたとは言えないようです。
次に、同じ参加者たちが運動前後でどのくらい不安を感じているかを調べました。これを見ると、面白いことが分かりました。不安を感じている人は、運動をすることで、α-アミラーゼという物質が増え、コルチゾールという物質が減りました。つまり、運動が不安を減らす効果があることを示しています。
さらに、運動が免疫力にどのような影響を与えるかを調べました。この結果から、運動をすると、CD69という免疫力に関わる物質が増えることが分かりました。これは、運動が免疫力を高める可能性を示しています。
全体をまとめると、運動は体の一部の反応を変え、不安を減らす効果があること、また免疫力を高める可能性があることがわかりました。ただし、これは5人の参加者についての結果です。全ての人が同じように反応するとは限らないことを覚えておいてください
研究の結果、運動が体と心に与える影響について少しでも理解が深まったと思います。この研究は運動が私たちの体と心にどう影響するかを調べているだけなのです。それは、より健康的な生活を送るための重要な一歩となります。
まとめ