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ストレス研究memo

感情労働とストレスの深い関係

2023年6月11日更新

こんにちは、けんこう総研代表講師のタニカワです。。今日は、私たちが毎日直面する「仕事のストレス」と、ある特別な要素である「感情労働」についてお話をします。

感情労働と呼ばれる職業をご存知ですか?

感情労働とは何か、と聞かれたら、どう答えますか?感情労働とは、私たちが仕事中に必要な感情を演出しなければならない職業のことです。例えば、お客様の前で笑顔を絶やさない店員、困ったクライアントを落ち着かせるために冷静を保つビジネスマン、これらはすべて感情労働の一部です。

最近の研究では、感情労働はストレスと密接に関連していることが明らかにされています。私たちがどのように感情をコントロールするかが、ストレスの程度を大きく左右します。だからこそ、感情労働を理解し、管理することが非常に重要なのです。

しかし、私たちが使用している職業性ストレス調査票、つまり職場ストレスの程度を測るためのツールには、この感情労働についての項目が含まれていません。つまり、私たちは感情労働がストレスにどのように影響しているのか、その全容を把握していないのです。

ストレス調査最新情報

新しいストレス調査票が作成され、そこには感情労働に関する3つの項目が追加されましたが、この新しい調査票は項目が多すぎるという理由で、まだ広くは使用されていません。

でも、仕事のストレスについて真剣に考えるなら、この新しい調査票は有効です。感情労働がストレスにどれだけ影響を与えているのかを理解することで、より良い職場環境を作り出せるツールになることは間違いありません。

感情労働が必要な対人援助職(サービス業)

「感情労働」は、肉体労働や頭脳労働と並び立つ第三の労働形態で、ストレスとの密接な関連性が指摘されています。一般労働者だけでなく、対人援助職における感情労働とストレスの関連性も最近の研究で注目されています。

サービス業は、表層演技と深層演技の2種類

感情労働は、アメリカの社会学者ホックシールドによって「労働者が業務遂行中に適切な感情を誘発または抑制しながら調整すること」と定義されています。具体的には、お客様に対して好意的な表情を浮かべたり、上司の厳しい命令にも冷静に対応したりするような行動です。ホックシールドは、これらの行動を「表層演技」と呼び、それに対して、真の感情を表す行動を「深層演技」と呼びました。

さらにホックシールドは、感情労働には3つの要素があると提唱しました。第一に、私たちは他人に対してサービスやケアを提供する役割があります。第二に、そのサービスやケアを提供する過程で、私たち自身の感情をコントロールする「感情規則」があります。第三に、経営者や組織による労働者の感情活動の管理、つまり「感情管理」が存在します。

職場内の付き合いも感情労働

だからこそ、感情労働はただ単に対人業務だけに限定されたものではありません。職場内での相互交流や組織として求められる感情表現も感情労働に含まれます。そして、この感情労働によって生じる「感情不協和」は、自分が感じていることと表現すべき感情とのギャップから来るストレス源となります。

期待と違った相手の態度でおこる感情不協和

先ほどお話しした「表層演技」と「深層演技」と言う2つのタイプに感情労働は大別されます。表層演技は、感情を隠し、好ましい表情や行動を演じる仕事です。深層演技は、本当に感じている感情を素直に表現することを目指します。どちらのタイプでも、感情をコントロールすることにより、「感情不協和」が生じることがあります。これは、自分が本当に感じていることと、他人が期待する感情との間のギャップが生じるときに起こります。例えば、ある困難な状況で自分が感じているのはフラストレーションだけど、プロフェッショナルとしては冷静でいなければならない。そういう瞬間、あなたは感情労働をしているのです。

この「感情不協和」は、長期間にわたり、または強度が高まると、ストレス要因となり得ます。感情労働が過度に求められる職場では、従業員は自分の感情を抑制することが求められ、それがストレスを生む原因となる可能性があります。そして、これは従業員の健康を損ない、抑うつやバーンアウトにつながることもあるのです。

では、これらの情報を踏まえて、我々がどのように行動すべきかを締めくくる言葉を述べましょう。

感情労働を知ると組織の目標達成につながる

感情労働が、従業員だけでなく組織全体に及ぼす影響を理解し、その管理方法をつくる必要があります。具体的には、従業員の感情労働の負荷を適切に分散すること、そして適切な健康教育によりリテラシーを高めてあげましょう。

感情労働の健康的なバランスを維持することは、働くこと自体が喜びであり、成長であり、生産性の源である職場環境の整備です。そして、それが組織全体の成功につながります。

ただ結果を追求するだけではなく、従業員がその結果を生み出すための最良の環境を提供することです。感情労働に対する理解と対策は、その目標を達成するための重要なステップとなります。

最後に、感情労働という新たな視点から、業務内容と従業員の成功を再定義することができます。それが、この新たな時代におけるリーダーシップを発揮するための道になると感じています。ビジネスと、それを支える従業員のために、感情労働の理解と適切な管理にコミットしていく事を目指していきましょう。

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