ストレス研究memo
アルコールはストレス解消に役立つのか
2023年6月1日更新
こんにちは、けんこう総研のタニカワです。この回では、アルコールの影響についてお話しします。
飲酒と運転
アルコールを飲むと、どう感じますか?眠くなる?それとも、逆に元気になって、たくさん話したくなる?実際、アルコールは人によって反応が異なります。しかし、一般的には、アルコールを飲むと反応が鈍くなり、注意力が集中する傾向があります。これは、運転に特に影響を及ぼすことが分かっています。例えば、運転中にアルコールを飲むと、周囲の注意を払う能力が低下し、標識などを見落としやすくなることが分かっています。
飲酒はストレス解消に役に立つのか?
アルコールがストレス解消に一時的に役立つことはありますが、長期的には心身に悪影響を及ぼす可能性があります。
まず、アルコールは一時的にリラックス効果をもたらし、ストレスや不安を和らげることがあります。これは、アルコールが中枢神経系を抑制し、気分を高揚させる化学物質を放出することによるものです。しかし、この効果は短期的であり、アルコールが代謝されるとストレスや不安は再度増加することが多いです。
長期間に及ぶ飲酒は、認知機能を低下させることも
一方、長期的なアルコール摂取は、記憶、学習、意思決定などの認知機能を低下させ、注意力散漫を引き起こす可能性があります。また、アルコール依存症、肝臓病、心疾患、精神障害などの重大な健康問題を引き起こす可能性があります。
多くの研究が、アルコールがストレス解消に対して短期的な効果をもたらす一方で、長期的には負の影響を及ぼすことを示しています。例えば、”Alcohol and stress in the military”という論文では、ストレス緩和のためのアルコール使用がPTSDや他の精神的健康問題につながる可能性を示しています。
やはりストレス解消のための最善の手段は、アルコールではなく、なんと言っても健康的なライフスタイル(適度な運動、バランスのとれた食事、十分な睡眠)に尽きます。
最後に、高温についてです。
暑さの中のビールは、どの程度ストレス解消しているのか?
皆さん、暑い日に外で作業をすると、どう感じますか?疲れやすくなりませんか?実際、暑い環境は私たちの能力に影響を及ぼすことが研究からわかっています。例えば、暑さは私たちの注意力を集中させる能力に影響を及ぼします。つまり、暑い環境では私たちの注意が一点に集中し、他の重要な情報を見落としやすくなるのです。
けれども夏の暑い中、仕事が終わってから飲むビールは最高ですよね。高温で飲むビールがストレス解消に影響を与えるかどうかは、多くの要素によるもので、個々の体験と感じ方に大きく依存します。一般的に、アルコール自体が一時的なリラクゼーション効果をもたらすことは事実です。このため、飲むこと自体がストレス解消に一部寄与することはあります。
けれども、ビールを高温で飲むことがこれにどのように影響を及ぼすかははっきりとまだわかっていません。一部の人々にとって、ビールを高温で飲むことはその体験を豊かにし、リラックスするための一部となるかもしれません。他の人々にとっては、それが不快でストレスを増加させるかもしれません。
ですので、高温でビールを飲むことがストレスを軽減するかどうかは、その行為自体をどのように感じるか、そしてそれがあなたにどのような感情的反応を引き起こすかに大きく依存します。
ただし、アルコールをストレス解消の主要な手段として使用することは推奨されません。長期的に見れば、適度な運動、バランスのとれた飲食、十分な睡眠、リラクゼーションテクニック(深呼吸、瞑想、ヨガなど)、良好な社会的サポートなどが、より健康的なストレス管理法として推奨されます。
このような私たちが日常生活で経験することは、これらの状況が私たちの行動や思考にどのように影響を及ぼすかについてはあまり考えて行動はしませんよね。ですが心身は、これらのストレスに対抗するために様々な方法で反応します。しかし、私たちはそれを常に意識することはありません。ですから、これらの事実を知って、日常生活におけるこれらのストレス要因を理解し、うまく対処することが重要です。
あなたが次に山登りに行ったとき、あるいは夏の暑さの中で作業をするとき、あるいは一杯のビールを飲むときには、その状況があなたの体と心にどのように影響を及ぼすかを思い出してみてください。それはあなたが自分自身を理解し、健康的な選択をする手助けになるはずです。
というわけで、今日はこれでおしまいにします。皆さんがこれからも自分の体と心を大切にして日々、暑くなっていく季節に負けず、健やかにお過ごしください。