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ストレス研究memo

睡眠中のウェアラブルによる心拍数変動測定#3/ストレス研究memo

2023年5月13日更新

昨日の睡眠中の睡眠中のウェアラブルによる心拍数変動測定は、朝の精神的・身体的フィットネスの認識を予測するか?の続きです。
#1はこちらをクリックしてもご覧いただけます
#2はこちらです。
本日はいよいよ、本筋です。

睡眠中のウェアラブルによる心拍数変動測定の研究では、参加者たちは「私は身体的に健康だと感じる」と「私は精神的に健康だと感じる」という2つの質問に答えます。この2つの質問は、0から10までの11点スケールで評価して、参加者の身体的健康と精神的健康の感じ方を測定します。この質問は、元々研究者自身で作成したものですが、2021年にKeeganらによって軍人の使用に妥当性が確認された「Acute Readiness Monitoring Scale」の項目5と13に良く合致しています。

参加者たちは、専門的な訓練と機能に基づいて精神的健康と身体的健康を区別することにすでに慣れています。参加者にとって身体的健康とは、体力、耐久力、運動能力などを使ってパフォーマンスを発揮する準備ができていると感じることです。一方、精神的健康とは、認知的、感情的にパフォーマンスを発揮する準備ができていると感じることを指します。

Acute Readiness Monitoring Scale(即応性”を測定する尺度)とは、どんな測定法?

2021年9月までの情報では、Acute Readiness Monitoring Scaleについて具体的な情報が取得できませんでした。しかし英語の “readiness” は日本語で「準備ができている状態」や「用意ができていること」を意味します。たとえば、身体的な準備や精神的な準備が整っていることを示す場合にreadinessが使われます。具体的には、「即応性」や「即戦力」と訳すこともあります。

一般的に、“即応性”を測定する尺度は、個々の能力や状態が特定の活動やタスクを行うために準備ができているかどうかを評価するために使用されます。これは身体的な準備だけでなく、精神的、感情的、認知的な準備も含むことができます。

“即応性”を測定する尺度”が特に軍人の使用に妥当性が確認されたとのことなので、この尺度はおそらく厳しい訓練や任務を遂行するための身体的および精神的な準備状態を評価する目的で設計されていると推測されます。

データの分析方法と順番

1.RStudioとRというコンピュータープログラムを使ってデータの分析を行いました。
HRV(心拍数変動)、TST(全睡眠時間)、参加者の精神的・身体的健康感についての基本的な統計情報を計算しました。しかし、これらの値はスケール(尺度)が異なるため、データを標準化する必要がありました。これにより、独立変数の係数(影響度)を比較しやすくしました。

2.次に、参加者の反復測定を考慮に入れるために、「lme4」というRのパッケージを使用して、各EMA(体験サンプリング法)アウトカム(結果)に対して2つの階層的線形混合モデルを作成しました。すべてのモデルは、固定効果(HRVとEMAアウトカムの関連性)とランダム効果(参加者間の違い)に基づいています。

それぞれのモデルのマージナルR2(固定効果だけで説明できる分散の割合)とコンディショナルR2(固定効果とランダム効果の組み合わせで説明できる分散の割合)を計算しました。

3.さらに、マージナルR2とコンディショナルR2の違いを計算することで、モデルの適合度の変化を評価しました。
統計解析の過程で、作成された各モデルのマージナルR2とコンディショナルR2の間には大きな違いが見られました。

4.被験者内のばらつき、被験者間のばらつき、全体のばらつきを比較しました。
各モデルのマージナルR2とコンディショナルR2の間の違いを解釈するために、変動係数(CV)の3つのバージョンを計算しました。

結果

査読の過程での要求に応じて、NN間隔の標準偏差(SDNN)という時間領域のHRV(心拍変動)指標も計算・分析されました。これはrMSSDの代替として使用されました。しかし、睡眠中のSDNNは、朝の精神的・身体的健康感とは有意な関連性が見られませんでした。
解りやすく説明すると、
研究者たちは心拍変動というデータを別の方法でも分析してみましたが、この新しい分析方法でも、、睡眠中の心拍変動が次の朝の心と体の元気さとは大きく関連していないことがわかりました。

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