ストレス研究memo
けんこう総研のストレスレベル測定
2023年5月8日更新
けんこう総研の研修では、参加者の研修におけるストレス検出データを、ご依頼いただいたクライアントの健康推進ご担当者さまにレポートとしてフィードバックしています。ウエアラブルデバイスについては、ガーミン社のスマートウオッチ型を使用しています。ガーミンのストレス検出機能については、心拍数変動 (HRV) を主に用いてストレスレベルを測定します。HRVは、ストレスや自律神経活動の指標として広く認識されています。
ただし、ストレス検出機能の精度は、ガーミン社に限らずウエアラブルデバイスは、個人差や状況によって異なる可能性があります。ストレスの原因や程度は、個々に異なるため、心拍数変動だけでストレスレベルを正確に評価するのは困難です。さらに、他の要因(運動、睡眠、食事など)も心拍数変動に影響を与えるため、ストレス検出の精度に影響を及ぼすことがあります。
ウエアラブルデバイスによるストレス検出機能は、個人のストレス傾向を把握し、ストレス緩和法を実践するきっかけを提供するためのツールとして効果的です。一方、医療的なストレス評価には、未だ限定的です。そのためストレス管理や疑問がある場合は、医療専門家と相談することが重要です。
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参考著書:マイケル・コール;文化心理学 – 発達・認知・活動への文化-歴史的アプローチ
マイケル・コール著『文化心理学 – 発達・認知・活動への文化-歴史的アプローチ』は、文化が心理学的発達、認知、行動にどのように影響を与えるかを説明し、それらがどのように密接に関連しているかを明らかにするための独自の視点を提供しています。コール氏は、文化と個人の心の働きを理解するために、文化的背景、歴史、社会状況などの要素を考慮することが重要であることを強調しています。
本書では、文化心理学の理論的基盤に関する概要が提供され、レフ・ヴィゴツキーやアレクセイ・レオンチェフなどの文化-歴史的アプローチに基づく研究が紹介されています。これらの研究は、心の働きが個人の内部ではなく、個人とその文化的環境との相互作用の中で発展することを明らかにしています。
コール氏はまた、言語、記号、道具などの文化的媒介が、個人の認知や行動にどのように影響を与えるかを示しています。これらの文化的媒介は、個人が自分の環境とどのように関わり、意味を構築し、問題を解決するかに大きな役割を果たします。
本書の後半では、異なる文化における子どもの発達や学習プロセスを調査した研究が紹介されており、これらの研究がどのように文化心理学に貢献しているかが示されています。例えば、異なる文化における家族構造や教育方法が、子どもの自己認識や他者との関係性に影響を与えることが明らかにされています。
私の感想としては、マイケル・コールの『文化心理学 – 発達・認知・活動への文化-歴史的アプローチ』は、文化と心の働きの関係を理解するための大変興味深く書かれていました。文化の違いが個人の発達や認知にどのように影響を与えるかを示す研究や例が豊富に紹介されており、それらがどのように相互作用するかについての深い理解が得られます。また、この本は、文化心理学が異文化間の理解と協力の促進に役立つ可能性を示唆しています。
コール氏が提示する文化-歴史的アプローチは、心の働きを単なる個人の内部プロセスとして捉えるのではなく、個人とその文化的環境との相互作用の中で捉えることを提案しています。これは、異文化間の認識や対話を深める上で、非常に重要な視点だと感じました。
さらに、本書が提供する異文化間の研究は、心理学や教育学の分野において、異なる文化的背景を持つ人々に対する教育方法や支援の提案に役立つと思われます。これにより、より多様な文化的背景を持つ人々が共存できる社会を実現するためのヒントが得られるでしょう。
また、私自身が異なる文化的背景を持つ人々と関わる機会が増えている現代において、この本は非常に有益であると感じました。コール氏の『文化心理学 – 発達・認知・活動への文化-歴史的アプローチ』を読むことで、異なる文化的背景を持つ人々とのコミュニケーションや理解が向上し、より良い関係を築くことができると思います。総じて、マイケル・コールの『文化心理学 – 発達・認知・活動への文化-歴史的アプローチ』は、文化と心の働きに関心を持つ人々にとって、非常に有益で興味深い一冊であると感じました。文化心理学の理論的基盤や文化的背景が認知や行動に与える影響についての理解を深めることができるだけでなく、異文化間の理解や協力を促進するための示唆も得られるでしょう。