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タニカワ久美子の講演スピーチ

心は脳が決める?あなたのストレス管理が変わる最新科学

2024年11月12日更新

こんにちは、けんこう総研の代表を務めていますタニカワ久美子です。私はこれまで、行政機関や企業でストレス管理の重要性を伝える研修やコンサルティングを行ってきました。また、東京大学大学院の情報学環という研究科でもストレスについて研究を続けています。情報学環というのは何をするところかといいますと、例えば私の研究のように、ストレスを軸にしながら健康全般を考えていく学問の場です。日本は現在、高齢化社会に突入していて、健康に対する関心もどんどん高まっています。今日は特にストレスについて、ちょっと謎を解いていくような感じでお話をしていきたいと思います。

ストレスチェックリストとペンが置かれたラップトップのキーボード上にある

私たちが今考えなければならないのは、脳と身体のつながりをどう見ていくかということです。これからのストレス研究やメンタルヘルスへのアプローチでは、脳を身体の一部として捉え、その全体的な機能と連携させて考えることが重要です。

脳と心の深い関係~ストレスを考える第一歩~

では、なぜストレスを考えるときに「脳」に注目するのでしょうか?それは、脳について考えることが、すなわちメンタルヘルスを考えることだからです。脳というと、まず「心」とのつながりを思い浮かべる方も多いですよね。実際、脳と心は密接に関わっています。脳は心そのものであり、心は脳そのものとも言えます。こういった考え方は、昔からあったように感じるかもしれませんが、実は比較的最近のものなんです。古代では、心は心臓やお腹にあると考えられていましたが、近代になって初めて「心=脳」という考え方が広がりました。

心身二元論の誕生と脳の特別な役割

この考え方がどうやって広まったのか、少し歴史を見ていきましょう。実は脳というのは、他の臓器とは少し違った扱いをされてきました。心臓や胃、腎臓といった臓器は、昔から診療の対象として考えられていましたが、脳はそうではありません。今でも特別視されている部分がありますが、近代になってようやく脳が身体と切り離されて、別の存在として捉えられるようになりました。この歴史が「心身二元論」の誕生につながります。心身二元論とは、脳や精神を他の身体の臓器とは別のものとして考える立場です。この考え方が出てきたことで、脳は心と密接に結びつく特別な存在として認識されるようになりました。

この二元論が生まれる前、古代ギリシアの医師ヒポクラテスが、初めて脳の働きについて言及しました。紀元前4世紀に活躍したヒポクラテスは、「人間は心臓で感じたり考えたりしているわけではなく、脳がその役割を担っている。また、美しさや醜さを見分けるのも脳だ」と言っています。これは、現代の脳科学の成果を予見するような考え方でした。当時、ヒポクラテスのように経験を重んじる医術は批判されていて、医術は神の業とされていました。それでも、脳を実在する機構として見ようとする彼の考えは、先進的なものでした。

ヒポクラテスからデカルトへ:脳研究の歴史をたどる

時代が進んでルネサンス期になると、人体解剖が盛んに行われるようになりました。そして、哲学者デカルトが1637年に著した『方法序説』で、精神と物質の二元論を提唱しました。デカルトは「精神の本質は意識であり、物質の本質は延長である」と述べ、精神と脳を結び付ける考えを発表しました。さらにデカルトは、人間は精神と肉体の合一体であり、精神は脳内の松果腺を通じて身体をコントロールしていると考えました。

現代の脳研究の現状とストレス管理への期待

ここで注目したいのは、脳は身体の一部であるという事実です。これが当たり前のようでいて、実は非常に重要なポイントです。現在、脳研究は進んでいるものの、どこまで明らかにされているのかというと、まだ初歩的な段階にすぎません。大脳皮質と呼ばれる高次機能を担う脳の部位についても、認知、記憶、言語、思考のメカニズムはほとんど解明されていません。脳研究が進む中で、いずれこうした謎がもっと解けていくことを期待していますが、今のところは未知の領域が多いです。

私たちが今考えなければならないのは、脳と身体のつながりをどう見ていくかということです。脳だけが特別視されている間は、身体全体としての統一感は失われたままです。ですので、これからのストレス研究やメンタルヘルスへのアプローチでは、脳を身体の一部として捉え、その全体的な機能と連携させて考えることが重要です。
このように、ストレスと脳の関係を深く理解することは、私たち自身の心身の健康を考える上で大切になってきます。

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